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2021.4.5

東京の一極集中と都心賃貸オフィスの今後

(画像=安琦王/stock.adobe.com)
(画像=安琦王/stock.adobe.com)
2020年1月1日時点の東京都の日本人の人口は1,325万7,596人であり、同年8月1日現在の日本人の総人口が1億2,333万4,000人で、東京都は10%ほどを占めています。また、東京都は25年連続で都への転入者数が転出者数を上回っていました。しかし、2021年1月29日付の日本経済新聞に、「東京からの転出40万人、コロナで一極集中に変化」との記事が掲載されました。

コロナ禍と政策方針による東京都の人口流出

2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機としてテレワークが普及したことにより、東京都の転出者数が増加傾向にあり、転入者数が減少傾向にあります。

総務省が2021年1月に発表した「住民基本台帳人口移動報告2020年結果」によりますと、2020年の東京都への転入超過数は、3万1,125人で、2019年比で5万1,857人も減少しています。さらに2020年5月、東京都は2013年7月以来の転出者数が超過となり、2020年は転出者数が転入者数を上回る月が数ヵ月ありました。

<東京都の転入者数、転出者数および転入超過数の推移(2014年~2020年)>
  転入者数(人) 転出者数(人) 転入超過数(人)
2014年 431,670 355,643 76,027
2015年 456,635 372,404 84,231
2016年 445,306 370,982 74,324
2017年 453,900 380,776 73,124
2018年 460,628 380,784 79,844
2019年 466,849 383,867 82,982
2020年 432,930 401,805 31,125
参照:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告2020年結果」をもとに編集部作成

コロナ禍が、東京都の人口動態に大きく影響を与えているのです。

そして、気になるのが政府の動きです。政府の方針として、東京都の一極集中を是正するため東京23区在住の対象者が東京都の東京圏外へ移住した場合、その対象者に対し移住支援金を交付する制度を新設するなど、積極的に地方移住を推進しているのです。

このような政府の方針とコロナ禍によるテレワークの浸透により、今後、東京都の人口が空洞化するのではないか、東京都の人口減少に伴い都心の賃貸オフィス需要に悪影響を及ぼすのではないか、と考える人は少なくないでしょう。

20世紀、東京都に人口は集中していなかった

そもそも、日本の人口が東京都へ一極集中しているのはなぜでしょうか。まずは、これまでの東京都の日本人の人口動態を見ていきます。
 
  総人口 東京都の人口 総人口に住める
東京都人口の割合
1960年 9,341.9万人 910.6万人 9.75%
1970年 1億0,372.0万人 1,110.9万人 10.71%
1980年 1億1,706.0万人 1,142.2万人 9.76%
1990年 1億2,361.1万人 1,169.8万人 9.46%
2000年 1億2,692.6万人 1,175.0万人 9.26%
参照:総人口は総務省統計局、東京都は住民基本台帳をもとに編集部作成

1960年から2000年までの間、東京都の日本人の人口は増加傾向にありますが、総人口に占める割合は、1970年の10.71%をピークとして、1980年から2000年までの間は、10%を割り込んでいます。ここから、20年前の日本では、現在ほど東京都に人口が集中していなかったことが読み取れます。

21世紀、東京都の人口は増え続ける

しかしながら、2005年以降、次の通り、東京都の人口の占める率は増加を続けます。
 
  総人口 東京都の人口 総人口に住める
東京都人口の割合
2005年 1億2,776.8万人 1,216.1万人 9.52%
2010年 1億2,805.7万人 1,259.1万人 9.83%
2015年 1億2,709.5万人 1,288.0万人 10.13%
2018年 1億2,644.3万人 1,363.7万人 10.79%

2010年をピークに、日本人の総人口が減少傾向にもかかわらず、東京都の人口は増加傾向にあり、また総人口に占める割合も増加しています。

東京都の人口が増えているのは日本の産業構造に起因する

このような人口動態となっているのは、日本の産業構造の変化が要因の一つとして挙げられます。

1990年代以降、日本の主力産業である製造業は、コスト削減を一因として海外生産移転が進みます。それにより、日本国内の製造業の就業者数は1990年をピークに減少していきます。また同じく、他の複数の第二次産業も海外生産移転が進み、日本国内の就業者数は減少していきます。

情報通信業の名目国内生産額は全産業で最大

第二次産業の動きと反比例するように、就業者数が増加していくのが第三次産業です。さらに、第三次産業のうち、従来の卸小売業や金融保険業、不動産業ではない、情報通信業の規模が大きくなっていきます。1990年代後半から2000年代前半までのITバブルです。

ITバブル崩壊後は、情報通信業も一時的に落ち込みを見せましたが、その後は回復します。2018年の日本の名目国内生産額は1,013.5兆円ですが、そのうち情報通信業は99.1兆円と、全産業で最大の9.8%も占めているのです。

情報通信業の就業者数は東京都が最多

情報通信業の就業者数も増加を続けます。総務省統計局の「労働力調査 長期時系列データ」の主な産業別就業者数データのうち、製造業と情報通信業を見ていきます。

<製造業と情報通信業の就業者数の推移>
  製造業 情報通信業
2002年1月 1,210万人 153万人
2007年1月 1,172万人 188万人
2010年1月 1,064万人 197万人
2015年1月 1,038万人 203万人
2020年1月 1,060万人 244万人
2021年1月 1,046万人 253万人
参照:総務省統計局「労働力調査 長期時系列データ」をもとに編集部作成

2002年1月から2021年1月までの間、製造業の就業者数は約164万人もの減少がありますが、情報通信業は約100万人の増加が見られます。

そして、この増加を続ける情報通信業の就業者数が最も多いのは東京都です。2019年12月に発表された国土交通省国土政策局の「各国の主要都市への集中の現状」によりますと、2016年の東京都の就業者数の集中度は全産業では30.8%ですが、情報通信業に限りますと62.6%にも上ります。

現在の日本の産業構造から東京都へ人口は集まり続ける

1990年代まで、日本国内において第二次産業である製造業等を就業先としていた就業者層は、前述した業種の海外生産移転が進んだことにより、他業種への就業を余儀なくされ、その多くが就労場所を東京都へ求めていきました。

政府は、東京都の人口集中の是正を目指してはいますが、この流れは当分止まることはないはずです。そして今後も、第三次産業、その中でも情報通信業は成長が見込まれ、その大半の就業者が東京都に集中していることから、引き続き、都心のオフィスは活気づくでしょう。

コロナ禍による東京都の転出者はどこへ転居する

しかしながら、コロナ禍による東京都からの転出数増加は事実です。コロナ禍が、世界中で価値観を変え続けていることから、これまでの日本の人口動態とは異なる動きを見せる可能性も捨てきれません。

まず、東京都の転出者の転出先は、半数以上の約55%が東京圏である神奈川県、埼玉県、千葉県となっています。東京都の転出者の主な理由は、次の2点が挙げられています。
  • テレワークの普及により都心への出勤頻度が減少したため、都内に住む必要がなくなったこと
  • 経済的困窮により、都内の高い家賃が負担となったこと
コロナ禍により、東京都の転出者数は増加していますが、その転出先は東京圏内であり、転出者の就労場所が都心のオフィスであることに変わりはないことが分かります。

転入者の数は東京都だけでなく全国的に減少している

次に、2020年の日本の転入者数データを見てみます。転入者数が最も減少しているのは東京都ですが、転入者数は43都道府県で減少しており、東京都だけの傾向ではありません。また、転入者数が最も多い都道府県は東京都で、2番目が神奈川県、3番目が埼玉県、4番目が大阪府、5番目が千葉県と、転入者数の上位5つを首都圏で占めています。

<2020年の都道府県別転入者数のランキングトップ5>
1位 東京都 43万2,930人
2位 神奈川県 23万2,772人
3位 埼玉県 18万6,289人
4位 大阪府 17万2,563人
5位 千葉県 15万9,632人
参照:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告2020年結果」をもとに編集部作成

2020年のコロナ禍により、都道府県をまたぐ転出入数は減少したものの、首都圏への転入者数は変わらず多く、1都3県全てが上位5位以内に入っています。このように、東京都の転出者数は超過していますが、全国的に転入者数低下の傾向が見られ、また東京都の転入者数は全国最多であることから、東京都に人口が集中することに変わりはありません。

東京都に人口は集中。都心の賃貸オフィスは活発化

日本の産業構造の変化、そして現在の情報通信業の発達は、東京都の人口集中を推し進めています。そのため、センセーショナルな“コロナ禍による東京都の転出者数超過”から連想される首都圏の人口減少、それに伴う都心の賃貸オフィス需要低下は杞憂であることが分かるでしょう。

そして、コロナ禍で普及したテレワークにも揺り戻しが起きていることから、都心の賃貸オフィスは引き続き、需要が見込まれるのではないでしょうか。一時的な現象やニュースに惑わされず、歴史的な視点や視座を持ち、また的確なデータ分析を行うことが、不動産投資に求められているのです。

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著者情報

株式会社シー・エフ・ネッツ
片岡 雄介
大学卒業後、新築マンション販売営業、賃貸仲介営業を経て、2011年、シー・エフ・ネッツグループへ入社。賃貸不動産の管理業務に従事する。現在、賃貸管理部門であるシー・エフ・ビルマネジメントのリーダーを務める。

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