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2020.1.16

今話題のRPAとは何か? 導入事例をふまえてそのメリットとデメリットを徹底解説

(画像=Wright Studio/Shutterstock.com)
(画像=Wright Studio/Shutterstock.com)
近年、オフィスワークをめぐる大きな変化として「RPAの導入拡大」というトレンドがあります。RPAとは「Robotic Process Automation」の略で「ロボットによる業務プロセスの自動化」のことです。「デジタルレイバー」「仮想知的労働者」「デジタルワークフォース」などの別名で呼ばれていることもあります。

長い歴史を持つ工場の生産工程におけるファクトリー・オートメーション(FA)は、言わば資本主義の発展とともに進められてきました。一方でRPAはオフィスにおけるホワイトカラーの業務を効率化させる技術として近年急速な発展を見せています。今回は広範囲な業務を自動化させ生産性向上への期待が寄せられているRPAの基礎から実際の導入事例までを詳しく見ていきましょう。

RPAとAIの違い

RPAに近い存在としてAI(人工知能)があります。両者の違いを例えるならばRPAは業務における「身体」なのに対してAIは業務の「頭脳」です。したがって両者は組み合わせることができます。例えば「見積書を発行する」という業務において顧客から見積書発行依頼が来たとしましょう。RPAは対象商品の型番を拾って検索し表示された価格をもとに特定のフォーマットに従って見積書を自動的に作成します。

一方、AIは顧客からのメールを自動的に読み込み「見積書の発行が必要」と判断してRPAに見積書発行の指示を出すのです。

RPAが注目される3つの理由

RPAが注目されている主な理由は3つです。

コストが低下している

1つ目はICT、IoT(Internet of Things=モノのインターネット化)、AI技術の向上によってコストが大幅に下がっていることです。企業にとってオフィス業務の効率化は、昔から課題ではありました。ところがICT技術が未発達の時代には、結局「人海戦術」のほうが安くできていたのです。ICTやIoT、AI技術の飛躍的な向上によってRPAのコスト・パフォーマンスが大幅に向上し導入拡大に結びついたのです。

働き手不足

2つ目は深刻な働き手不足の問題が関係しています。世界でも類例を見ないスピードで超高齢化・少子化が進行している日本では、長期的に生産年齢人口の不足が続くことになります。女性の社会進出、外国人労働者の受け入れなどの政策も進められていますが、それだけでは到底足りないのは明らかです。幅広いホワイトカラー業務をカバーできるRPAは、人手不足対策に有効な手段になりつつあります。

低い労働生産性

3つ目に日本の低い労働生産性の問題が挙げられます。OECD(経済協力開発機構)の調査によると2017年の日本の「時間あたりの労働生産性(就業1時間当たり付加価値)」は約47.5米ドル、主要先進7ヵ国中で最下位でした。特にホワイトカラーの労働生産性の低さが指摘され、この改善が社会的な課題となっているのです。

RPA導入の3つのメリット

RPA導入のメリットはどういったところにあるのか、具体的に見ていきましょう。

1 人件費などのコスト削減
RPA導入の最大の目的は、人件費や外注費などのコスト削減です。RPAがオフィスの定型業務を代行し日々の作業工数が削減されることによって人員の削減とそれに伴うさまざまなコスト(人件費、採用コスト、人材育成コストなど)の削減が実現できます。

2 付加価値の高い仕事に専念できる
RPAが代行する定型業務は単純労働のため、その業務が減少することで社員はより一層付加価値の高い仕事に専念することが期待できます。結果として労働生産性を高められ社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

3 ミスを防止し作業を最適化できる
単純労働においては、どんなに気を付けていてもヒューマンエラーが発生します。それが単なるミスだとしても企業にとっては大きな損害になるケースも少なくありません。それを避けることができるのは大きなメリットといえるでしょう。

RPA導入の3つのデメリット

一方、RPA導入のデメリットとしては次のようなことが考えられるでしょうか。

1 セキュリティのリスク
インターネットを利用するタイプのRPAでは、外部環境からの不正アクセスによる情報漏えいやシステムの誤作動による情報流出が考えられます。

2 業務が停止するリスク
サーバーやパソコンなどに障害が発生するとRPAが影響を受けて業務が停止する可能性も否定できません。特に最近多発している停電による影響については、あらかじめ想定が必要です。

3 業務のブラックボックス化と属人化
RPAによって業務が自動化すると人の手を介した業務ノウハウの蓄積がなくなります。そうすると次第に業務は「ブラックボックス化」していく可能性も否めません。またRPA設計に携わった担当者が異動したり退職したりすると何かトラブルが発生したときに誰も対応できない「業務の属人化」も生起します。

これらのリスクを避けるための対策として主には次の3つの対応が必要となるでしょう。

・強固なセキュリティ体制の構築
・予備蓄電池の確保などのバックアッププロセスを用意する
・業務フローのドキュメント化と引き継ぎの徹底

それでは次に実際にRPAを導入した企業・行政の事例を見ていきましょう。

RPA導入事例① 日本生命保険相互会社

日本生命は、まだRPAという用語が登場する前の2014年から導入を始めていて2018年時点では2つの保険事務部門で49の業務にRPAを活用しています。ロボット化された具体的な業務内容について、いくつかご紹介します。

ロボット化された具体的な業務内容

・保険の契約申込情報を社内システムに登録する作業
・保険金請求手続きの際に、書類に書かれているバーコードから読み取った情報を社内システムへ登録する作業
・公的機関からの照会に基づいて特定個人の保険加入状況を確認する作業など

RPAを活用した結果、事務作業の平準化を達成したほか、年間5万時間の余力を創出したといいます。

RPA導入事例② つくば市

2018年1~4月上旬につくば市では、NTTデータグループの協力を得て市民税課5業務、市民窓口課1業務を対象にRPA導入の共同研究を行いました。

市民税課の課題とRPA導入業務

<課題>
・2~3月の申告相談の繁忙期
・人口増加に伴う業務量増加
・人事異動による引き継ぎ負担
<導入業務>
・個人住民税の納税通知書・更正決議書・宛名封筒の印刷業務
・同特別徴収事業所の登録業務
・同給与支払報告書の回送先情報の登録業務
・法人市民税の電子申告書の印刷業務
・同電子申告書の審査業務

市民窓口課の課題とRPA導入業務

<課題>
・複数の繁忙期
・人口増加に伴う業務量増加
・住民の待ち時間
<導入業務>
・異動届受理通知業務

共同研究の結果、RPA導入によってつくば市での業務時間は大幅に削減したとのことです。市民税課では約166時間の業務時間削減に成功し削減率79.2%、市民窓口課では約17時間の業務時間削減に成功、削減率83.3%という結果となりました。

まとめ

RPAは事業規模の大小を問わず効果が期待できるツールといえます。どんな企業でもオフィスでの定型業務は存在しますので、RPA導入による生産性向上の可能性はあるといえます。

導入の手順としては以下のようになるでしょう。

①    担当部署・担当者を決める
②    自動化すべき業務を洗い出す
③    ふさわしい外注者とツールの選択

まずは、RPAに代替する業務の範囲を限定して試験導入を行い、徐々に規模を拡大していく「スモールスタート」を行ってはいかがでしょうか。

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