経営者の関心事
2020.3.2

オフィス移転の流れとタスクが一目でわかる!【オフィス完全移転ガイド】

(画像=zhu difeng/Shutterstock.com)
(画像=zhu difeng/Shutterstock.com)
オフィス移転をすることになったものの、具体的に何をすべきか分からずお困りの担当者は多いのではないでしょうか。
オフィス移転は大量かつ複雑なタスクがある、負担の大きなプロジェクトです。スムーズな進行と移転完了のためには全体を把握し、漏れなく確実に作業をすすめる必要があります。ここではオフィス移転に必要な情報を解説します。
 
【目次】

1.オフィス移転のマスタースケジュールを作成する

(画像=NicoElNino/Shutterstock.com)
オフィス移転において、担当者が最初にすべきことはマスタースケジュールの作成です。

1-1.オフィス移転日は6ヵ月前までに決定する

オフィス移転は大量のタスクを同時進行させることになります。作業の見落しがあると全体の進行が大幅に遅れ、場合によっては移転日までに間に合わなくなる可能性があります。

マスタースケジュール作成で最も大切なことは「移転日の設定」です。多くの場合、スケジュールは移転日から遡った約6ヶ月間のプロジェクトになります(賃貸契約書の内容による)。

1-2.あまりに従前と違う物件にすると定款を直す必要性がある

オフィス移転でオフィスがあまりにも従前の環境と変わってしまう場合、管理方法などのルールや定款・社則を直す必要が出てきます。
例えば、

・今まで固定オフィスだったものをフリーアドレスにする
指定された座席がなくなるため、今までの私物管理方法などが変わる
・ID認証制の入室管理だったものを別の方法に変更する
システムそのものを変更するほか、在籍確認方法に関わる細かなルールも変わる
セキュリティ管理に関したルールそのものが変更される
・休憩時間を自由化する
社則から変更が必要になる

など、定款や社則変更は労使での話し合いも必要になり、費やす時間と労力が大きいため、場合によってはオフィス移転に間に合わない可能性がでてきます。どこまでやると定款に触れるのか、そのルール変更はいつまでにすれば良いのかなどを確認してから企画する必要があります。

2.新旧オフィスでの作業:6ヵ月前~5ヵ月前

  6ヵ月~5ヵ月前 4ヵ月~3ヵ月前 2ヵ月~1ヵ月前 移転後
新オフィスに関わる作業 2-1.
(1)移転日と準備期間の設定
(2)その他の設定
2-2.物件探し
(1)フリーレント※の交渉
(2)新規オフィスの選定基準
3-1.オフィスプランニング
3-2.家具と機材選び・見積もり・発注
3-3.通信設備と内装工事開始
4-1.工事工程をリスト化する
4-2.工事完了確認
5-1.各種届出
旧オフィスに関わる作業 2-3.旧オフィス解約予約申請 3-4.引っ越し業者の選定開始 4-3. 社内告知と移転説明、総括移転マニュアル作成
4-4. 移転マニュアル作成(部署単位のもの)
5-2.原状回復工事
5-3.明け渡し
※フリーレントとは賃料無料期間を指します。

オフィス移転に際し、6ヵ月~5ヵ月前に取り掛かる作業を見ていきましょう。

2-1.新オフィスに関わる作業:各種設定

(1)移転日と準備期間の設定
一般的に半年を目安とします。これは旧オフィスの契約内容にもよりますが(後述)、新規移転先決定と内装工事完成などの全作業工程に概ね半年は必要になるためです。特に旧オフィス(現オフィス)では通常業務と並行して移転作業を行うことになるため、半年程度の余裕がないと支障が出る可能性があります。

(2)その他の設定
プロジェクト始動時期に、移転日以外に以下のことを決定する必要があります。

①経営会議での承認会議日程を作る
経営陣が出席できる会議日程を作成し、役員クラスの日程を押さえます(オフィス移転には経営陣の賛成と承認が必要になります)。

・予算1(移転プロジェクトの予算)
・予算2(移転先不動産に関わる予算)
・移転先の決定
・オフィスレイアウト・内装などの方向性
・上記全てに関わる新社屋での経営方針とビジョン

場合によっては稟議書類だけでなく、その場で決定する事案も出てきます。役員からの承認を得られる日程を最低でも4~5回分は確保しましょう(引っ越し月以外の毎月、承認が得られるようにしておく)。

②予算確保
オフィス移転のために年間予算から移転プロジェクト費用を確保する必要があります。また、移転先が現在のオフィスよりも拡大する場合は、上乗せ分の賃料も必要になります。

担当者は経理に相談の上、数社に見積もりを依頼し、見積もり資料を元に提案します。(前例がある場合は)基本的に前例に則ります。

想定額によっては移転の年度を見送った方が良い場合も起こり得ます。これは経理・財務・経営陣の判断が必要となります。

③現オフィスの問題点の洗い出し
移転にあたり現オフィスで問題とされている部分を解消し、より快適で仕事の能率が上がるオフィスを目指しましょう。

・社内アンケートを行う
社内アンケートを取り、現状オフィスの不満と、新しいオフィスに「あったらいいな」と思うことを自由に書いてもらいます。無記名の方が自由な意見を書いてもらえる可能性が高くなります。

・会社経営方針と未来図を具体化する
経営陣のもつ会社経営方針とビジョンを、移転先のオフィスで表現・活用します。
新社屋に移動するタイミングは、企業にとって「切り替え」のタイミングでもあります。「経営方針の路線変更」「新しい経営哲学による付加価値の追加」「事業承継の検討」など、かねてから話し合いが行われていた経営戦略に関した事案を現実化するチャンスといえます。経営陣による新しいビジョンが反映されたオフィス作りをすることで、社員にも経営陣の考えが浸透します。

「社員が働きやすい職場」「生きがいとなる楽しい職場」などの概念的なものは家具の色や形で表現できます。

・現オフィスの具体的な問題点解消
例えば、分煙はされていてもタバコの臭いが室内にこもっていた場合、新オフィスでは喫煙ブースを屋上や社屋外に設置する、などの方法があります。

④社員のモチベーションアップを目指す
社員のモチベーションアップが期待できる設定が必要です(内装や動線、広さなど)。今のオフィスよりも利便性や快適性が下回らないように配慮をしましょう。
【オフィス移転のタイミングで「自社ビルを“区分で”買う」という選択肢】

オフィス移転のタイミングでオフィスビルを「区分」で買い、「自社ビル」として所有する選択肢があります。一時的に支出は多くなりますが、年間総支払額は賃貸よりも少なくなるため、中長期的経営戦略ではプラスに働きます。

オフィスビルの区分購入には以下のようなメリットがあります。

(1)ブランドイメージが上がり信用力がつく
銀座・大手町・有楽町などのビジネスブランド力が強い地域に自社ビルオフィスを所有することができるため、自社のブランドイメージに大きく貢献します。

(2)賃料が上がらない・原状回復費用もかからない
賃料の値上げがなく、オフィス内インテリアなどの造作変更も自由、原状回復もありません。当然更新も無いため、今後の移転先を心配する必要がありません。

(3)デザインが自由にできる
好きなデザインオフィスにできます。

(4)不動産担保としても使える
担保に使え、銀行融資に有利です。

(5)維持が楽にできる
「区分」所有のため、ビル全体の管理や維持は専門業者に一任できます。所有している区分のことだけを考えれば良いので、一棟ビルのビルオーナーに比べると非常に身軽です。

(6)移転の際は賃貸供出・売却ができる
自社区分オフィスが手狭になった場合は、区分オフィスをリノベーションして賃貸物件として供出することも、売却することもできます。希少性の高いリッチな地域にある区分オフィスならば購入希望者が多いため、売却の場合に手早く現金化できます。

2-2.新オフィスに関わる作業:物件探し

新規オフィスの物件探しを開始します。物件探し自体はもっと早くから開始しても良いですが、その場合は情報収集程度にとどめておくとよいでしょう。理由は、オフィス移転を検討している他企業と競合になる場合があるためです。

(1)フリーレントの交渉
フリーレントとは賃料無料期間を指します。オフィス空室率が高止まりしている借主優位の現在のマーケットでは、数ヵ月~最高で1年分のフリーレントが提示される事があります。ただし、無料なのは室料だけで共益費は必要です。

フリーレントの目安は100坪で6ヵ月といわれますが、申し込み時期にもよります。例えば、現在空室のオフィスを6ヵ月のフリーレントで半年後入居からお願いしたいとなると、オーナー側は1年間収益なしになりますので、交渉として持ち出しにくい話になります。このような場合、オーナー側からは最低5年間の固定契約などを打診されるケースが多いようです。歩み寄りながら、お互いにとってメリットになる妥協点を見つけましょう。

(2)新規オフィスの選定基準
新規オフィスを選別する時に、考慮に入れておくべき選定基準は主に以下のとおりです。

①    立地・場所・最寄駅からの所要時間を考える
可能な限り、利便性が下がることは避けましょう。もし、社の方針としてどうしてもその必要がある場合は、自社でできる限り利便性を損なわないような補填をしましょう。

(例)「自然と寄り添う企業として、駅歩5分のコンクリートジャングルから、平米数の大きな、駅歩20分の緑地帯と公園が多い地域に引っ越しをする」場合の利便性の補填
・ピストン輸送バスを完備する
・自転車・マイカー通勤を許可する
・フルフレックス制度を採用する
・社内に食堂とカフェを完備
・社内にコンビニかキオスクを完備 など

②    社員の通勤時間や交通費の増減・取引先とのアクセスを考える
例えば都心から郊外への移転などの場合、以下のような不都合が出ることが考えられます。アクセスには十分に留意しましょう。
・通勤スタイルの大幅な変更が社員にとってストレスになる
・社員によっては引っ越しを余儀なくされる場合がある
・自社が負担する交通費が大幅に上がる可能性がある
・取引先に足を運んでもらう際に極端な不便をかける可能性がある

③    周囲の環境と利便性を考える
ランチや打ち合わせに使えるようなカフェやレストラン、休憩場所や喫煙場所などがあるか、マップだけではなく、実地確認をしましょう。

例えば、あまりにもお店が少ないと混雑して社員が昼休みに十分な休憩を取れないケースなどが出てきます。 

④    入居コストの算出
入居コストは入居先により大きく差があります。以下の項目をよく比較しましょう。
・賃料
・共益費
・保証金・権利金、更新料
・不動産手数料

⑤    設備の確認事項
オフィス設備の最低限の確認事項はおもに以下の3つになります。

・電気容量
古いビルの場合、電気容量が現在のOA機器の使用量に対して低い設定である場合が多い傾向があります。最大容量や増量制限を確認しておきましょう。確認を怠ると、最新式の機器を導入する際、電気容量の問題で不可能となる場合も出てきます。

・電話回線数
電話回線数がすでにそのオフィスビルが使用できる上限に達している場合、新しい回線を増やすことができません。また、古いビルによくある内線で分岐しているタイプの場合は、NTTに新規配線を発注しなければならず、コストがかかります。

・空調設備の位置
空調の位置、取り替えができるかどうかを確認しましょう。古いビルの場合、ビルドイン型空調で故障した場合、取り替えができない場合もあります。

⑥    駐車場の有無・ビルの使用可能時間
ビルの地下や屋上に駐車場が完備しているかどうか、また空き状況と利用料金も確認しましょう。
駐車場がない場合は、近所にコインパーキングが十分にあるかも確認します。

また、オフィスビルの使用可能時間を必ず確認します。使用時間が終わると電気が自動で止まるオフィスビルもあり、温度管理とエレベーター類などの使用ができなくなります。

⑦    耐震免振機能
免震、耐震機能をよく確かめて、自社の社員の命と安全が守れる保証のあるビルを選びます。

2-3.旧オフィスに関わる作業:解約予約申請

旧オフィス(現オフィス)に解約予約申請をします。一般的には6ヵ月前に仲介会社を通じてオーナーに告知します。解約申請は契約によっては違う場合もあるため、プロジェクト開始前に必ず契約書を確認しましょう。

3. 新旧オフィスでの作業:4ヵ月前~3ヵ月前

  6ヵ月~5ヵ月前 4ヵ月~3ヵ月前 2ヵ月~1ヵ月前 移転後
新オフィスに関わる作業 2-1.
(1)移転日と準備期間の設定
(2)その他の設定
2-2.物件探し
(1)フリーレント※の交渉
(2)新規オフィスの選定基準
3-1.オフィスプランニング
3-2.家具と機材選び・見積もり・発注
3-3.通信設備と内装工事開始
4-1.工事工程をリスト化する
4-2.工事完了確認
5-1.各種届出
旧オフィスに関わる作業 2-3.旧オフィス解約予約申請 3-4.引っ越し業者の選定開始 4-3. 社内告知と移転説明、総括移転マニュアル作成
4-4. 移転マニュアル作成(部署単位のもの)
5-2.原状回復工事
5-3.明け渡し

新しい移転先が決まり、予算が取れると本格的に移転に向けて作業が進行します。

3-1.新オフィスに関わる作業:オフィスプランニング

①    オフィスプランニング業者の選定
オフィスプランニング業者の選定を開始します。各社資料を請求して料金・手法・デザイン力・実績などを比較します。
<参考>移転先オフィスイメージを自分たちで作ってみる

プロへの依頼前に自分たちで移転先オフィスのレイアウトを作ります。事前に社員から集めたアンケートと、経営陣の目指すビジョンをすり合わせ「自分たちはどんなオフィスが欲しいのか」を軸にして考えます。

間取りやレイアウト作成は普段考え慣れていない人にとっては難しいため、以下のような間取り無料ソフトなどを使い、素人なりに自分たちのイメージを作っておきます。あとでプロに作成してもらう際に役立ちます。

【参照:間取りソフトHOME DESIGN
【参照:SWEET HOME3D
【参照:設計倶楽部無料版
②    オフィスプランニングで大切な3つのポイント
・総務はオフィス移転の「進行管理」
総務またはプロジェクトチーム主体でオフィスプランニングのアイデアは出しますが、実際のプランニングはプロにお願いします。自分たちのアイデアに沿って適切な提案をしてくれる、相性の良いプロを選ぶことに専念しましょう。そのためにもオフィスプランニングのプロにお願いするための予算をしっかりとってもらいます

古い体質の経営陣の場合、「自分たちだけでやろう」と言い出すケースがあり注意が必要です(物量、作業量的に無理です)。予算やその他の事情でプロに頼まない場合はプロジェクトが佳境に入る最後の3ヵ月だけでも、派遣などで作業人員を補填し、通常業務と移転業務が問題なく並行できるようにしましょう。

・オフィスプランニング会社の選び方
相性の良いオフィスプランニング会社と巡り会うために、担当者とは必ず直接面会をして話を聞きましょう。言葉で伝えきれない部分は、イメージを写真や雑誌からの切り抜きなどで用意します。
初回の面談でこちらが伝えたオフィスイメージをカラーイラストに起こしてもらい、比較します。自分たちが思っていることを上手に汲み取ってくれている会社はどこかを判断する材料になります。
移転目的に合わせたレイアウトになっているかを再確認し、自分たちの思う新オフィスのイメージ通りかどうか、複数人で意見を出し合います。

・アイデア出しは複数人で
オフィスには複数のゾーンがありますので、オフィスプランニングのアイデア出しも複数人数でやる方が、様々な角度からの意見が出て、良い企画が立てられます。
来客と従業員が共有する場所、従業員のみが利用する場の2つにゾーンを分け、配置やどんなイメージにするかを考えていきます。

プランニング段階で出た反対意見やクレームは、後日、新オフィスで社員から上がってくる可能性が高いと考えられます。お互いに忌憚なく意見を述べ、より良い環境作りの土台にしましょう。

③    業者選定と入札制度の確認
プランニング会社が決まったあと、工事発注業者の選定は入札制が多い傾向がありますが、移転の規模にもよります。入札制度を採用する場合は移転説明会を開き、複数の移転関連業者に参加をしてもらいます。
事前に評判の良い工事業者がある場合は見積もりを取ると同時に、新オフィスビルオーナーへの打診もしておきます(工事業者が指定されている場合もあります)。
ビルオーナーから「内装工事だけは◯◯会社に」などの希望が出る場合もあります。

④    相見積もりをしておく
プランニング会社・引越し業者・電気関連業者・リース類などすべて事前に見積もりを貰い、比較をして個別の資料は揃えておきましょう。入札時と値段が違う場合があるからです。

プランニング会社によっては、オフィス探しから旧オフィスの原状回復まで一連の作業が全てセットプランになっているものもあります。この場合は、プランニング会社が入札制度を利用してプロジェクトにあった業者を選定していきます。

3-2.新オフィスに関わる作業:家具と機材選び・見積もり・発注

家具などは設定したオフィス移転の目的を意識して選ぶと統一したセンスの良いオフィスインテリアになります。

①    家具
仲介不動産業者またはオフィスプランニング会社から展示会案内が届くことが多いでしょう。プロジェクトチームの複数名で足を運び、自分たちの思い描くイメージに合う家具を選びましょう。

オフィス家具の選定に手間取ると、家具の調達が間に合わず、搬入が大幅に遅れる可能性が出てきます。オフィスレイアウトがおおむね決まった時点で家具の調達に着手しましょう。最終的にはオフィスプランニング会社と一緒に選び、見積もり比較の上、発注をかけます。

②     OA機器
OA機器については必ず総務またはプロジェクトチームから「スペック指定で」見積もり・発注をします。スペックが違うと、機器が搬入された後の電気関連の工事に大きな支障が出ますので注意が必要です。スペック選定はシステム部門に協力してもらいましょう。

③     家具と機材選びの手順
・新規の購入家具・OA機器
特にオフィスのデザインに関するものは新規購入になります。予算と相談しながら、理想イメージに近いオフィスになるようにしましょう。

・リース家具、OA機器の仕分けをする
同じ家具でもリースをする方が良いものがあります。毎日使うデスクや椅子などは、傷みも激しい上に、1つだけ車輪が壊れたなどのトラブルがおきやすい家具のため、リースにした方が効率が良いでしょう。
その他、電子機器ではコピー機、ファクス、電話などはリース契約が適しています。新規ソフトウエアに合わせて機種変更が可能です。

・家具の廃棄
現オフィスで使用しているもので、新オフィスには不要となるオフィス家具類を選別し、廃棄します。引っ越し業者や家具業者が有料で引き取りをしてくれる場合もあります

3-3.新オフィスに関わる作業:通信設備と内装工事開始

この後、新オフィスでの通信設備と内装工事が同時進行していきます。

3-4.旧オフィスに関わる作業:引っ越し業者の選定開始

現在のオフィスに下見に来てもらい、移転先もみてもらいます。グロス割引・早期割引などがありますので、活用しましょう。移転の時期によっては希望日に予約が取れない場合もありますので、できるだけ早めの予約が必要です。
また引っ越し業者の廃棄物引き取りが可能かどうかも確認しましょう。

4.新旧オフィスでの作業:2ヵ月前~1ヵ月前

  6ヵ月~5ヵ月前 4ヵ月~3ヵ月前 2ヵ月~1ヵ月前 移転後
新オフィスに関わる作業 2-1.
(1)移転日と準備期間の設定
(2)その他の設定
2-2.物件探し
(1)フリーレント※の交渉
(2)新規オフィスの選定基準
3-1.オフィスプランニング
3-2.家具と機材選び・見積もり・発注
3-3.通信設備と内装工事開始
4-1.工事工程をリスト化する
4-2.工事完了確認
5-1.各種届出
旧オフィスに関わる作業 2-3.旧オフィス解約予約申請 3-4.引っ越し業者の選定開始 4-3. 社内告知と移転説明、総括移転マニュアル作成
4-4. 移転マニュアル作成(部署単位のもの)
5-2.原状回復工事
5-3.明け渡し

いよいよ、移転まで2ヶ月を切りました。この時期になると、おおよその新オフィスの形が出来上がりつつあります。

4-1. 新オフィスに関わる作業:工事工程をリスト化する

プロジェクト関係者は、残っている工事工程を把握してリスト化します。このリストを作っておくと、移転前に運び込めるものなどがわかりオフィス移転がよりスマートに行えます。

4-2. 新オフィスに関わる作業:工事完了確認

業者から工事完了通知が届くたび、プロジェクトメンバー数名とプランニングオフィス担当者とで現場へ足を運びます。チェックすべき項目は以下のとおりです。

・当初のプラン通りにできているか
紙の上にあったものが現実になった状態です。全体の雰囲気など総合的にイメージ通りかどうか判断していきます。予算内で変えられるものは、ここで最終変更できるチャンスになります。
・電気配線などに不備がないか
プラグ、配線が十分足りているか確認します。
・空調は動いているか
デスクなどが配置されていたら、空調が不快な位置がないか確認します。
・想定外の不備などがないか
特に、新しいデザインオフィスにした場合、動線が異なるためシミュレーションしながら現場で実際に動いてみましょう。

など、現場で1つひとつ目視と点検により確認していきます。
同時に、旧オフィスでは以下のことを進行します。

4-3.旧オフィスに関わる作業:社内告知と移転説明、総括移転マニュアル作成

企業の規模によりますが、できれば社内告知をした上で移転説明会を行った方がトラブルが少なく済みます。その際に「総括移転マニュアル」を作成し、各部署の責任者に渡します。記載内容は以下のとおり。

・移転日時
・移転先
・引っ越し業者の回収時間帯
・新オフィスでの荷物到着日
・その他OA機器などの仕様
・システム部門がある場合はネット関連使用可能日時スケジュール
・その他総務関連事項

資料の手渡しと、専用サイトなどに同様のPDFダウンロード先を作っておき、必要な人がいつでも入手できるようにしておきます。

4-4.旧オフィスに関わる作業:総括移転マニュアルに従いスケジュールを作成

総括移転マニュアル資料に沿って、各部署ごとに移転の細かいスケジュールなどを決めてもらいます。
スケジュールには以下の内容が含まれます。

①物品の仕分け作業
引っ越し準備をしながら通常業務をしてもらうため仕分け作業が主になります。

・直前まで使うもの
・ダンボールに梱包してもいいもの
・早めに新オフィスに送ってしまっていいもの
・次のオフィスでは使わない倉庫行きのもの
・電子化するもの
・廃棄するもの
・宅配便で新オフィスに送るもの
・新オフィスに当日までに手持ちするもの

②引っ越し前日・当日の分担表作成
引っ越し当日の作業分担表を作成します。

・運び出し係
・清掃係
・梱包係
・点検係
・リーダー
その他、細かな持ち物なども指示しておく必要があります。

③封書・名刺・HPなどの変更
担当部署は、移転後に使うHPや封書・名刺などを新連絡先で準備します。オフィス移転後、すぐに使う部署には早めに作成をしておきましょう。

過去にお取引のあった企業には、引っ越しのお知らせをメール、または印刷で送付します。

④データ移転とバックアップ
クラウド化が進んでいる企業以外は、データ管理について専門部署と確認をする必要があります。
各部署単位で管理するデータは、バックアップなどで対応します。

5.移転完了後

  6ヵ月~5ヵ月前 4ヵ月~3ヵ月前 2ヵ月~1ヵ月前 移転後
新オフィスに関わる作業 2-1.
(1)移転日と準備期間の設定
(2)その他の設定
2-2.物件探し
(1)フリーレント※の交渉
(2)新規オフィスの選定基準
3-1.オフィスプランニング
3-2.家具と機材選び・見積もり・発注
3-3.通信設備と内装工事開始
4-1.工事工程をリスト化する
4-2.工事完了確認
5-1.各種届出
旧オフィスに関わる作業 2-3.旧オフィス解約予約申請 3-4.引っ越し業者の選定開始 4-3. 社内告知と移転説明、総括移転マニュアル作成
4-4. 移転マニュアル作成(部署単位のもの)
5-2.原状回復工事
5-3.明け渡し

オフィスの移転が済んだら、次は官公庁や郵便局へ各種届出をします。
その後、新オフィスで機器などがきちんと稼働するかどうかなどを再点検します。旧オフィスでは原状回復をして期日までに明け渡しをします。

5-1.新オフィスに関わる作業:各種届出

オフィス移転に関した各種届出は全部で以下のとおり9項目をおさえておくとよいでしょう。。

①    法務局(本店移転登記申請書の提出)
・届出場所:移転前の管轄税務署
・必要書類:取締役会議事録または株主総会
・期日  :議事録取締役議事録 移転日から2週間以内

② 税務局
事業年度、納税地その他の変更異動届出書、本店移転登記申請書、給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書は全て税務署で提出します。

・届出場所:移転前及び移転後の管轄税務署
・必要書類:登記簿謄本または登記する事項にあっては、変更の事実を証明できる書類の写し
・期日  :移転日から1ヶ月以内
【参照:国税庁 申告・申請・届出等、用紙(手続の案内・様式)

③ 都道府県税事務所(事業開始等申告書
・届出場所:移転前及び移転後の管轄税務署
・必要書類:登記簿謄本
・期日  :事業開始の日から10日以内

④    社会保険事務所適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
・届出場所:移転前の管轄社会保険事務所
・必要書類:各社会保険事務所で必要な書類が異なる可能性があるので、必ず移転先の住所がある社会保険事務所サイトなどで確認を確認すること
・期日  :事実発生から(移転完了後)5日以内

⑤    労働基準監督署
(1)労働保険名称・所在地等変更届
・届出場所:
同一管轄内での移転の場合は、同じ所轄監督署
同県内での管轄外への移転の場合は、新所轄監督署
・必要書類:なし
・期日  :保険成立日から10日以内

(2)労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書労働保険関係成立届
・届出場所:
県外へ移転の場合:旧所轄監督署へ廃止届を提出し新所轄監督署へ成立届を提出する。同じ地域の場合は不要。
・必要書類:なし
・期日  :労働保険確定保険料申告書は保険関係が消滅した翌日から50日以内
労働保険概算保険申告書は保険関係が成立した日から50日以内
成立届は保険関係が成立した日の翌日から10日以内
【参照:厚生労働省 労働保険関係各種様式 一覧】

⑥ 労働基準法に関するもの
適用事業報告書(様式23号の2)
その他就業規則(変更)届
時間外労働・休日労働に関する協定届

・届出場所:同県内と県外への移転時は、新所轄監督署へ新規として提出
・必要書類:なし
・期日  :なるべく早く

⑦ 安全衛生法に関するもの
安全管理者選任報告(様式第3号) 
衛生管理者選任報告(様式第4号)
産業医選任報告(書式第4号)
・届出場所:新所轄監督署へ新規として提出
・必要書類:免許証の写し
・期日  :なるべく早く
【参照:厚生労働省 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式

⑧    公共職業安定所(事業主事業所各種変更届
・届出場所:新所轄事務所適用係に提出
・必要書類:なし
・期日  :変更があった日から10日以内

⑨    郵便局(郵便物届出変更届
・届出場所:移転前の受持郵便局
・必要書類:なし(ウェブでも対応可能)
・期日  :転居判明後、速やかに届出をする(旧住所へ送られてしまいます。旧住所ポストがある場合はそこに投函され、再配達されません)

5-2.旧オフィスに関わる作業:原状回復工事

旧オフィスを原状回復して、借りる前の状態に戻します(業者に依頼)。

5-3.旧オフィスに関わる作業:明け渡し

期日までに旧オフィスを明け渡します(業者に依頼)。
明け渡し期日までは、旧オフィスに出入りができます。

6.オフィス移転にかかる金額の目安

オフィス移転にかかる費用は、「企業規模」「引っ越し先の規模」「オフィスのインテリア」により異なります。ここでは平均的な費用を記載しています。

6-1.新オフィスの賃貸に関わる費用

新オフィスを申し込む時に発生する費用です。

①保証金
保証金は礼金とは違い、一旦、オーナーがお金を預かる形で、万が一未払いがあった場合の「保証」として使います。目安は50坪以下だと賃料の3~6ヵ月分、50坪以上だと賃料の6~12ヵ月分が平均的です。
※償却費
契約によりますが、小規模なビルやオフィスの場合は保証金から償却費用が発生します。契約書に「償却◯ヵ月」と記載されます。この費用は原状回復には充当されませんので覚えておきましょう。

②前家賃
契約開始月分の賃料で、日割り計算になります。ただし、フリーレントがつくと前家賃がない場合があります。

③火災保険料
借主による火災保険の加入が義務付けられており、保険料は2年間で約2.5万円~程度です。躯体ではなく、オフィス内の物に対してのみ保険がききます。
なお、オフィスビルで一律に保険会社やプランを指定しているケースがあります。

④保証委託料
保証会社に入らない場合は、賃料と共益費を1ヶ月分ずつ支払います。保証会社の有無は仲介業者やビルオーナーの考え方によります。審査は企業の決算書を判断材料にします。

⑤仲介手数料
賃料の1ヵ月分が目安です。ただし、仲介手数料に規定はないので、同じ物件でも契約内容により1ヵ月分、2ヵ月分と異なるため注意が必要です。

6-2.内装費用

オフィスの内部にかかる費用です。費用に幅がありますが、予算内でオフィスイメージとあったものを選びながら、快適なオフィスを作り上げましょう。

①デザイン・内装設計費用
オフィスプランニング費用で、1~3万円/坪平均
凝ったもの、デザイン性の高いものほど坪単価は高くなります。

②建築設備工事費用
・内装全般
・電気設備全般
・防災設備・空調設備全て
を含んだ工事費用で、15~35万円/坪平均

③ネット関連 通信設備工事費用
通信ネットワーク設備、電話設備などの配線工事費用 5~15万円/坪平均

④オフィス家具
机・椅子などの什器は 3~30万円/人平均

6-3.引越しに関わる費用

①    旧オフィス:原状回復費用
普通の家と異なり、オフィスの場合は経年劣化も原状回復に含みますので、明け渡し時には原状回復工事済みの状態で戻します。
一般的な費用目安は
・中規模ビル 3~5万円/坪
・大規模ビル 5~8万円/坪
原状回復工事はビルオーナーか管理会社によって指定された業者が工事に入る場合が多いので、確認しましょう。

②    旧オフィス:廃棄費用 
旧オフィスで使っていた家具などのうち、廃棄処分するための費用がかかります。費用目安は、4tトラック一台10万円平均です。

従前はオフィス家具専門リサイクルショップ引き取りなどがありましたが、リサイクル法が変更されたため処分するほうが安く見積れる傾向があります。また、地域によっては地域リサイクルが引き取りをしてくれるケースもありますので、各市区町村役場で確認をしましょう。

③    旧オフィスおよび新オフィス:引っ越し費用
引越し費用は、2~3万円/人が相場になります。ただし、引っ越し時期が繁忙期の2月下旬~4月上旬だと1.5倍になります。

作業人数は、エレベーターの有無や階段・通路の幅によって増減します。また、クレーン作業が必要な場合は、クレーン代金が発生します。大規模ビルは搬入口が別にあり、上層階までかなりの重量のものが自在に運べますので便利です。

④    その他
・引っ越しに合わせた倉庫の必要性
引っ越し先に倉庫がない場合は、レンタル倉庫を借りる必要があります。レンタル代金は空調のあるワンルームで月額1~4万円程度が目安です。

・データ化作業
オフィス移転のために書類データ化を外注する場合は費用が発生します。データ量が多く、予算を抑えたい場合は、手の空いた社員にPDF化を担当してもらいましょう。

・予備費
連絡ミス、作業の遅れ、レイアウトや工程ミスによるスケジュールの乱れで、余分な人件費や費用がほぼ確実に発生します。あらかじめ、プロジェクト費用は10%上乗せしておきましょう。

7.まとめ

オフィス移転は長期に亘る業務のため、事前の綿密なスケジュール作成とリスト化がマストとなります。通常業務と並行しての作業となるため、外部業者へ一括依頼する(アウトソーシング)方法もあります。
全社員に関わる一大プロジェクトのため負担も大きく、積極的にさまざまな方法を模索してみましょう。
自社のビジョンを新たなオフィスで具体化できるこの機会に、理想のオフィスづくりを目指してください。

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