経営者の関心事
2020.1.27

施行から「働き方改革」はどこまで進む?

(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
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2019年4月から、働き方改革関連法案の一部が施行されました。「長時間労働の是正」、「正規・非正規の不合理な処遇差の解消」、「多様な働き方の実現」の3点を柱とする同法の施行されてから企業の対応はどこまで進んでいるのでしょうか。

主要企業は働き方改革に慎重姿勢=産経調査

産経新聞社が主要116社を対象に実施したアンケート結果では、働き方改革に対する企業の慎重姿勢が浮かび上がりました。

まず、柔軟な働き方を実現するとされる一方で、長時間労働を助長するとの批判も根強い「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」。これは、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得ている場合、労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外するという制度ですが、「導入しない」「当面導入しないが検討課題となる」はいずれも44%でした。

主要企業の大半が現地点での導入予定を決めていないとする中、「導入する」と回答した企業はわずか1%でした。

なお、時事通信が2019年5月中旬に報じたところによると、制度開始1ヶ月後、高プロの適用を受けた労働者は全国で研究開発職の1人だけだったといいます。

「(高プロの)趣旨は理解できるが、サービス残業のリスクが高い」との見方が根強いようです。また、「該当する職種がない」という企業も多いでしょう。

一方、国内の労働力不足を補うとして注目される外国人労働者の受け入れについても、同様に様子見ムードが強いようです。

改正出入国管理法によって外国人労働者の受け入れ拡大が図られましたが、今後さらに業種や規模を広げるべきかとの質問に対し、34%が「当面維持すべきだ」と回答しています。「拡大すべきだ」としたのは28%でした。当面は現行の業種を維持すべき理由として、「外国人労働者の管理や就労支援、日本語教育など生活面での受け入れ環境の整備」や「海外とのパイプがないと募集が困難」といった声が上がっています。

>>【関連記事】会社が一丸となって取り組む「働き方改革」の先にあるものとは?~新時代におけるオフィスの在り方~

NHKの朝ドラにも働き方改革の波

働き方改革は、一般企業以外にも広がりつつあります。NHKは2020年春より、看板番組のひとつである「朝の連続テレビ小説(朝ドラ)」の放送日を、これまでの月~土の週6日間から月~金の5日間に短縮するなど、朝ドラは、放送開始から1年後の1962年から週6日放送を続けてきたが、近年の働き方改革の一環として、長時間労働になりがちな制作現場の負担を軽減するために、放送日の短縮を決めたといいます。

「働き方改革で生活が苦しくなった」との声も

一方、労働者側からは働き方改革で生活が苦しくなったという声も上がっているようです。

「生活残業」という言葉もあるように、月々の収入に残業代分を当て込んでいる人も多く働き方改革で長時間労働の是正が図られた結果、残業が減ったため手取りが少なくなったという人もいるようです。また、業務量の見直しが図られないまま勤務時間が減らされたり、残業禁止となった結果、業務の持ち帰りやサービス残業が増えたりしているとの声もあり、さらに、残業できなくなった部下の分もリカバリーしなければならない中間管理職の業務が増えたため、彼らの過労が心配だという指摘もあるようです。

残業時間が減り、有給休暇の義務付けなどで休日が増えたことにより、新たに趣味を始めたという前向きな声もある一方で、残業代削減で収入が減ったため支出を抑えざるを得なくなったという声も多いようです。人々の余暇は増えても支出が増加しないようでは、経済を上向かせることも難しいでしょう。

働き方改革によるモチベーション低下を防ぐ

健康に支障をきたすほど働きすぎるのはもってのほかです。しかし、業務量を減らさずに一律で残業を抑制する、その結果所得が下がるというやり方では、働く人のモチベーションを維持することは難しいでしょう。

残業代を払わなくなった分を社員にボーナスや賃上げなどのかたちで還元する、生産性向上に取り組んだ社員にインセンティブを支給する、増えた余暇時間での副業を認める……など、金銭面でマイナスの影響を受けないようにする取り組みも同時に必要です。また、業務内容を見直し無駄な業務がないかどうかなど、働く環境自体の検討も必要でしょう。働き方改革という言葉は先行していますが、実態としてはまだ産声を上げたばかりと言えるのではないでしょうか。

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