経営者の関心事
2019.10.28

台風・大雨時の出社基準をどのように決めるべきか 働き方改革やBCPに与える影響は?

(画像=MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com)
(画像=MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com)
2019年9月に発生した台風15号「ファクサイ」は、千葉県を中心に大きな被害の爪痕を残し関東を直撃した台風では過去最強クラスとなりました。

この台風は鉄道運行にも大きな影響を与え、各地で混乱が見られました。JR東日本など首都圏の鉄道各社は9月9日始発から計画運休を実施しましたが、一部の路線では運行再開が計画より遅れ終日交通の混乱は続きました。入場規制が実施されたJR津田沼駅では、駅前にできた利用者の長蛇の列が最大で2キロメートルにも上りました。

動かない電車を待って大行列!これって誰が悪い?

この駅前の長蛇の列に対しネットではその行動の是非について議論が起こりました。「そこまでして出社するか?」「いや会社員としては当然の行動だ」など、さまざまな意見が飛び交ったのです。会社の経営層や上司から指示がないのであれば、運行再開しない可能性が高い電車を待って大行列に並ぶ行為も責めることはできません。

従業員は会社に出社することが義務であり、どんなに困難な状況でも出社しようとした姿勢を示すことは、彼ら・彼女らにとって合理的行動といえます。したがって根本的な問題は企業の経営層や上司の意思決定にあるといえるでしょう。

BCP(事業継続計画)と従業員の生命・健康を守る視点

大前提として「台風が接近している」「気象警報・注意報が発表されている」といった状況で従業員の就労を禁止する法律はありません。しかし暴風・大雨の中出社を命じたり、何も指示を出さなかったりすることで従業員が自主的に出社して出勤途中で従業員が死傷した場合には、安全配慮義務違反を問われることになります。

ケースによっては、巨額の損害賠償請求が発生する可能性もあるでしょう。企業はこうした前提を踏まえ、BCP(事業継続計画)の観点と従業員の生命・健康を守る観点とを勘案してルールを定めることになります。その際に準備すべきは「行動基準」と「就業規則」の2つです。

行動基準は気象情報と鉄道運行状況を基に

行動基準は、台風・大雨の気象情報と鉄道各社の運行状況に応じて「休業(自宅待機)」「時差出勤」「早退」「在宅勤務」などの指示をどのように下すかというルールです。近年の天気予報は精度が上がってきているため、地震とは違い台風・大雨の際の対策は立てやすくなってきています。また鉄道各社も台風が接近する際には、事前に計画運休を発表することが多くなりました。

気象情報(警報級の可能性)と鉄道の運行状況を基に判断を下すわけですが、例えば「前日18時に決定」「当日6時に決定」などと決めておけば、従業員も体制が整えやすくなるでしょう。また当日になって天候が悪化した場合には、その都度「午後半休」「16時退社」などの指示を出すケースもあります。在宅勤務を指示する場合は、それが可能になる体制を事前に整えておくことが必要です。

そういった意味では、働き方改革で話題になっているリモートワーク制度を導入しておくとBCP対策にもなるでしょう。

出勤扱い?有休扱い?就業規則を定めよう

行動基準と同時に就業規則の整備が必ず求められます。台風接近に伴い「休業」「時差出勤」「在宅勤務」などの指示を出した際、給与や勤怠をどうするかというルールです。

例えば「災害時休業の場合は年次有給休暇の消化とする」と事前に就業規則に定めておけばトラブルを避けられます。また一歩進んで「災害特別休暇」制度を有給とは別に設けておくと、さらに従業員の理解を得やすいでしょう。

働き方改革やBCPに対応することが企業評価や信用に関わってくる時代

災害時の勤務体制について、従来のような「根性論」が受け入れられないという考えが一般的に浸透しつつあることは間違いありません。災害時に無理な出社命令を出す、あるいは逆になんの対応もしない企業は社会的な信用度を落とす可能性もあります。

行政機関や医療機関、交通インフラ事業者など災害時でも休むのが難しく、むしろ災害時こそ重要度が増す業態の場合は、災害時に出社をするための基準や環境の整備も必要となります。例えば「事前にホテル宿泊」などの方策も必要となるでしょう。変化する時代や環境、世相の流れに柔軟に対応できる企業体制をこの機会に考え、整える必要があるのではないでしょうか。

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