経営者の関心事
2019.9.24

人手不足時代の人材採用業務とは?HRテックを活用する企業が生き残る!?

(画像=BabLab/Shutterstock.com)
(画像=BabLab/Shutterstock.com)
企業の人手不足問題が深刻な状況を迎えています。企業にとって貴重な経営資源である人材の確保が非常に難しくなっているのです。この人手不足時代で生き残るためには、どのような対策を行えば良いのでしょうか。今回は、そんな人手不足時代において重要なキーワードといえる「HRテック」についてみていきましょう。

働き手が減少している日本

人手不足問題が深刻化している背景には、日本の少子高齢化があります。総務省の国勢調査によれば、少子高齢化の進行により、わが国の生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少に転じ、2015年の生産年齢人口は7,592万人にまで至っているのです。

また、リーマンショックからの回復期(2013年頃)以降ゆるやかに続く景気拡大によって、人手不足は拍車をかけています。リーマンショック直後の2009年では、有効求人倍率が年平均で0.47倍だったのが、2018年平均は1.62倍まで上昇している状況です。

(参照:総務省「第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」

HRテックとは何か?

このような状況下で頭を抱えているのが各企業の人事・採用部門です。優秀な人材の確保と育成は企業にとっての生命線と言っても過言ではありません。どんなに客観的状況が厳しくても「人材確保」は至上命令とされてしまいます。

そんな人事・採用部門の業務負担を軽減し、業務を効率化させるものとして近年注目されているのが、「HRテック」です。HRテックはHuman Resources Technologyの略で、人事採用、人材育成、人事評価などの人事業務に、人工知能(AI)やクラウド、ビッグデータなどのテクノロジーをかけ合わせた造語です。

金融とテクノロジーを組み合わせた「フィンテック」、不動産とテクノロジーの「不動産テック」などとともに、新時代の手法として期待が高まっています。

これまでの終身雇用と年功序列の考え方に基づく日本型経営では、採用は新卒一括採用、人事評価は職能給制度というように、人事部管理職の「経験」や「勘」だけで運営できていました。しかし、近年の雇用の流動化、人材の多様化に伴い、経験と勘に頼る手法から可視化された効率的システムへの移行が必然となってきたのです。

HRテックの現在

大手ICT企業からスタートアップ企業まで、様々なHRテックサービスが提供されていますが、採用ツールと人材管理ツールの2つをピックアップしてみましょう。

・採用ツール
タレンタが提供する「HireVue」は、Web上で採用面接を行なうことができるデジタル面接プラットフォームです。PCやスマートフォン、タブレットから面接を受けることができ、面接希望者、採用者ともに時間的、地理的制限から解放されます。
また、AIによる面接選考支援機能を使えば、面接者の言葉・音声・態度のパターンを分析し、活躍人材の予測を行うことも可能です。
例えば、河合塾では校舎専門職員(運営スタッフ)の採用のために、2018年12月からHireVueを導入しています。録画面接を活用することで選考プロセスがスピードアップしただけでなく、書類だけでは読み取ることが難しかった応募者の「生徒を思う心」「主体性」「業務に取り組む姿勢」などをくみ取ることができ、より適切なマッチングが可能になったとのことです。

・人材管理ツール
コーナーストーンオンデマンドの「HRスイート」は、給与データや勤怠情報などさまざまなソースから社員に関するデータを集約して、人材の詳細な全体像を把握することができます。また、予測型の分析機能を加味することによって、パフォーマンスデータの傾向やパターンを特定し、後継者育成、人事異動などの人材戦略を立てることも可能です。
同社のサービスを2016年12月から導入したのが、アサヒビールを母体にした持株会社のアサヒグループホールディングスです。グローバルな事業展開を行う同ホールディングスは、まさにグローバルに活躍できる人材の育成のため、国や事業をまたいだ人事戦略が必須となっていたのです。
とくに重要視されたのが、後継者計画の予測分析でした。全従業員の異動歴をAIが学習、分析することで、対象者の今後の最適なキャリアパスを複数提示。また、対象者を「即応性」と「潜在性」の軸でグラフ化することによって、人材を可視化しています。より多面的な視点が得られることで、人事施策検討での深い考察に役立てているようです。

指標はエンゲージメント

さて、ここまでHRテックを紹介してきましたが、誤解してはいけないのは「HRテックを導入しただけですべてが解決するわけではない」ということです。HRテックは、あくまで人事・採用業務を効率化させるツールですが、目的と手段が逆転してしまうと、人事業務はうまくいきません。

HRテックというのは、社員のパフォーマンスを数値化するものです。その結果の人事評価、人事異動などが釈然としないものになることもありえるでしょう。企業活動も人間の活動ですから、最後は人と人とのつながりに帰着するのです。

そこで、最近では「エンゲージメント(engagement)」という指標が人事業務において使われています。エンゲージメントとは、社員の会社に対する愛着心や思い入れの意味です。社員と企業が対等に向き合い、互いに成長し合う関係を構築することは、この人材不足時代を生き抜く上で欠かせない要素といえます。

人事業務においても、社内コミュニケーションの活性化や企業内に理念とビジョンを浸透させる取り組みなど、非デジタル的な活動も大変重要な要素になるのです。

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