経営者の関心事
2019.8.29

広がるサブスクリプション・ビジネス~企業にとってのメリット・デメリット~

(画像=M-SUR/Shutterstock.com)
(画像=M-SUR/Shutterstock.com)
近年、サブスクリプション・ビジネスが拡大しています。株式会社矢野経済研究所の発表によると2018年度のサブスクリプション・ビジネスの国内市場規模は消費者支払額ベースで、5,627億3,600万円にものぼっています。

Amazonプライムやネットフリックスなどの音楽・映像サービスだけでなく、衣服(ファッション)の借り放題や車などの交通機関、家に住み放題までサービスが拡充しています。

今回は、このサブスクリプション・ビジネスについて解説するとともに、そのメリットとデメリットについても詳しく紹介します。

サブスクリプション・ビジネスとは何か?

サブスクリプションというのは、消費者が商品やサービスに対価を支払うのではなく、それらを一定期間利用する権利に対価を支払うビジネスモデルです。もともとは新聞や雑誌の「定期購読」を指す言葉でしたので、新聞・雑誌の定期購読もまさにサブスクリプション・ビジネスのひとつといえます。

サブスクリプション・ビジネスが急拡大したきっかけには、ICT業界の牽引があります。アドビシステムズは、2013年にデザインに関するアプリケーションソフトウェアの統合パッケージ「Adobe Creative Suite」をサブスクリプション形式の「Adobe Creative Cloud」に完全移行しました。また、マイクロソフトは、ビジネス用アプリケーション「Microsoft Office」のサブスクリプション型である「Office 365」を展開しています。

これらICT業界のビジネス展開を「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」と呼びます。「サービスとしてのソフトウェア」ということです。

このSaaSに続き、「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」という概念まで登場し、バス、電車、レンタカー、タクシー、飛行機等のあらゆる交通手段をサービスとして提供する動きが出てきています。そして現在、住宅、衣服、外食、家具等々、私たちの生活のあらゆるシーンでサブスクリプション・サービスが現れているのです。

なぜここまで発展してきたのか

なぜ、サブスクリプション・ビジネスがここまで拡大したのでしょうか。その背景のひとつに、消費者の意識変化が挙げられます。シェアリング・エコノミーが台頭しているように、消費者の意識は「所有から利用へ」と変化しています。何枚も音楽CDを持ったり、映画のDVDをコレクションしたりするよりも、好きなときに音楽や映画をストリーミングで楽しみたいと思う人が増えているのです。

また、スマートフォン・タブレットの普及、通信回線の高速化・安定化などのICT技術の革新も背景のひとつに挙げられます。そして現在、企業側がサブスクリプション・ビジネスの優位性に気づき、乗り出してきたのです。

メリットとデメリット

それでは、企業にとってのサブスクリプション・ビジネスのメリットとは何なのでしょうか。列挙すれば以下のようになります。

1.売上を試算できる
企業が新規ビジネスを初めたとき、売上の想定は難しいものですが、このビジネスモデルであれば基本的には顧客数×利用料で求められます。契約期間が1年であれば、年間売上が立てられます。

2.新規顧客を呼び込みやすい
定額な料金の設定によって、新規顧客のサービス利用のハードルを下げられます。

3.顧客データを収集できる
顧客のID情報とそれぞれの購買行動情報をビッグデータとして得られます。

4.継続的な利用で常連化
顧客側からは「サービスを利用すればするほど得をする」状態ですので、ロイヤリティの高い顧客になってもらえます。

一方で、以下のようなデメリットも考えられます。

1.初期の価格設定が難しい
一度利用料の価格を設定すると、値上げは困難でしょう。収益に直結する重要な問題ですので、慎重に決める必要があります。

2.開始直後の利用者数が少ない
どうしてもビジネス開始当初は利用者が少ないので、収益は少なくなります。顧客獲得のためのPDCAが重要になります。

3.常に新鮮なコンテンツを用意
会員となった顧客に対して常に新鮮なコンテンツを用意しなければ、簡単に解約されてしまうビジネスモデルです。

矢野経済研究所の調査結果によると、サブスクリプション・ビジネスは、2023年には8,623億円市場にまで育つことが予測されています。意外な発想と意外な組み合わせが、新しいビジネスチャンスにつながるのかもしれません。

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