経営者の関心事
2019.7.25

経営者が知っておくべきESG投資の視点

(画像=apveanz/Shutterstock.com)
(画像=apveanz/Shutterstock.com)
ESG投資という言葉をご存知でしょうか。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。
投資するために企業価値を測る指標として、これまでは貸借対照表や損益計算書などの財務指標が主に使われてきました。それに加え、非財務情報であるESG要素を考慮する投資をESG投資といいます。

そんなESG投資ですが、昨今は、年金基金など大きな資産を長期で運用する機関投資家を中心に、企業を評価するベンチマークとして注目されているのです。これからの企業経営にとって、ESG投資の視点は必須と言っても過言ではありません。

ESGは持続可能な企業経営戦略

ESGという言葉が世界に広がったのは、2006年に国連の当時のアナン事務総長が機関投資家に対し、ESGを投資プロセスに組み入れる「責任投資原則」(PRI)を提唱したことがきっかけです。短期的な利益追求の投資行動(ショートターミズム)が2008年のリーマン・ショックをもたらしたことを、多くの人々が批判したこともPRIの署名機関増加につながりました。2018年4月時点で、2,000近い年金基金や運用会社などがPRIに署名しています。

では、具体的にESGに配慮した経営とはどのようなものでしょうか。一例としては、「E」は地球温暖化対策のためにCO2排出削減に取り組む、「S」は女性役員の抜擢を行う、「G」は社外取締役の採用などが挙げられます。

より詳細に考えるには、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」が指標になります。SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標です。17の目標とそれにひもづく169のターゲットで構成されます。

17の目標は、「貧困」「飢餓」「健康」「教育」「女性のエンパワーメント」など多岐にわたりますが、よくある誤解に「SDGsは開発途上国の問題だ」というものがあります。しかし、「経済成長・雇用」「インフラ」「不平等の是正」などは、わが国日本を含めた先進国も取り組むべきものなのです。

(参照:外務省 「JAPAN SDGs Action Platform」)

ESGから逸脱した経営は「命取り」

2015年9月に発覚した、ドイツのフォルクスワーゲンの排ガス不正事件は、ESG投資を考える上での「反面教師」といえるでしょう。同事件は、ディーゼル車の排ガスの中から自動的に窒素酸化物の排出量を減らすソフトウエアが使われていたという不正事件なのですが、これは同社のガバナンス(G)が機能不全になったのと同時に、環境(E)にも負荷をかけ、社会(S)にも多大なる迷惑をかけるというものでした。

この事件が同社の企業価値を著しく低下させたように、ESGを見失った経営戦略は企業にとって「命取り」にもなりかねません。ESGは、単なる「社会貢献」にとどまらず、企業の競争優位を創出するブランディング戦略なのです。

ESG投資の視点を積極的に経営に取り入れて成功した一例として、SOMPOホールディングス株式会社(東京都新宿区、櫻田謙悟CEO)の取り組みが挙げられます。

同社は東南アジアにおける「天候インデックス保険」や、地方自治体向けの「防災・減災費用保険」の提供といったESG関連保険を開発し、世に広めました。また、気候変動や環境などの国際会議へも積極的に参加し、企業姿勢を発信し続けています。

そのことが評価され、東京都が開設している「東京金融賞」の2018年度ESG投資部門を他の3社とともに受賞しています。

SOMPOホールディングスは、同賞受賞によってメディアへの露出も増え、同社の姿勢が多くのステークホルダーに理解されるきかっけになったと言います。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のように投資額が莫大で、資本市場全体に影響力を持つ機関投資家がESG投資の視点で投資行動を行っている現在、各企業もESGを基軸に持続可能な経営戦略が求められています。

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