経営者の関心事
2019.4.1

「出戻り社員」の採用経験72%、企業の即戦力に

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
労働力不足が顕在化する中、一度退職した後、他企業で働いていた「出戻り社員」を即戦力として積極的に採用する動きが広がりつつあります。かつて、終身雇用が前提だった日本企業において、いったん退職した社員を積極的に雇用しようという動きは限られていましたが、雇用の流動性が増すなかで、日本企業のカルチャーも変わりつつあります。

「出戻り社員」の採用、メリット・デメリット、周りの反応

人材紹介のエン・ジャパンの調べでは、いったん退職した社員を出戻りで「再雇用したことがある」と回答した企業は、全体の72%に上ります。再雇用後の職種は「退職前と同職種への配属」が85%と、即戦力としてみなされているようです。

「出戻り社員」を再雇用するメリットは、「採用コストを抑制できる」「研修が不要」といったコスト面のほかに、「他社を知ってスキルをつけてきた」「他社や他業界を知ったことで会社の良さや恩義を改めて認識した」「既存社員への刺激になった」「再雇用後はモチベーションが高まった」などが挙がりました。

ただ、難しいのは給与やポジションなどの待遇面での処遇です。企業側には「空白期間が昇進や昇格に影響する」「既存社員とのバランスが難しい」といった懸念があるようです。
周りの社員からも「おかえり」と旧知の仲間が帰ってきたことを歓迎する声がある一方で、「どうせまたすぐに辞めてしまうのでは?という声がある」「古株の社員と知り合いなので、若手がやりにくく感じる」といったネガティブな反応もあるようです。

また、「出戻り」を認めるかどうかは、退職理由によるという考え方もあります。介護や結婚、子育てなどやむにやまれぬ事情で退職した人の復帰は歓迎する一方で、円満退社ではなかったケースなどは認められない、というのは正直なところかもしれません。

しかし、こういったデメリットは「出戻り社員の採用に馴染みのない人が多いこと」が原因のひとつになっているとも考えられます。出戻り社員の事例が増え、理解が増していけば、一人ひとりに「再雇用は決して珍しいものではない」という認識も芽生えるのではないでしょうか。
参照:エン・ジャパン株式会社「人事担当者が考えるべき、旬のテーマを調査!」アンケート集計結果レポート

「出戻り組」を歓迎している企業が増加

パナソニックは昨年12月、同社を退職した人材を「出戻りキャリア」として積極的に歓迎する方針を発表しました。退職した人でも再び、中途採用に応募できるだけでなく、退職時にメールアドレスなどの連絡先を把握し、ダイレクトメールを送信するなどの積極策に打って出るそうです。

実は、同社代表取締役の樋口泰行氏自身が、パナソニックを離れた後に日本マイクロソフトで会長・社長を務めるなど「プロ経営者」としてのキャリアを積んで、再びパナソニックに復帰した「出戻り組」。出戻り社員には、他社を経験したからこその課題把握や会社の良さを理解することができると評価しています。
参照:プレスリリース「パナソニックが柔軟な雇用機会の提供をスタート」

外食大手のすかいらーくも、元社員やアルバイトなどの「出戻り組」を歓迎しています。「おかえり すかいらーく」と題した専門の採用サイトを立ち上げるほどの注力ぶりで、結婚・出産で離職した女性や、転職した元社員、学生時代にアルバイト経験がある人などの採用を進めています。

飲食業界では人材不足が深刻化しており、営業時間の短縮などに踏み切る企業も増えています。同社も「働き方改革」を進めていることをアピールし、一度はすかいらーくから離れた人材を再び呼び込みたいとしています。
参照:「元クルー 元社員を積極採用 おかえり すかいらーく」

先述の通り、まだ「出戻り」にはネガティブな要素もあるかもしれません。しかし会社側から「出戻り組」を歓迎する取り組みを打ち出していくことは、その打開策の一つになるのではないでしょうか。そして何より「人手不足の解消」という面においても大きなメリットをもたらす有効な一手になるはずです。

新規採用はますます困難、「出戻り採用」で人材確保

日本の少子高齢化は深刻なレベルに達しており、労働力の確保は喫緊の課題となっています。人材採用が難しくなる中での対応策として、企業のダイバシティー化(多様化)を進め、あらゆる人材が働きやすい職場を整備する一方で、仕事内容や社風をよく理解した元従業員を再び採用するという動きも、今後ますます広がっていきそうです。

新規採用がますます困難になりつつある現代だからこそ、出戻り社員も再び働きたいと思うような環境の整備に努めていくべきなのではないでしょうか。


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