経営者の関心事
2019.3.18

4月から年5日の有休取得を義務化、中小企業含む全企業が対象に

(写真= wavebreakmedia/Shutterstock.com)
(写真= wavebreakmedia/Shutterstock.com)
日本人のワークスタイルや休暇のありかたが議論される中、働き方改革法案の成立により、2019年4月から「従業員に対し最低でも年5日以上有給消化させる義務」が企業に課されます。これは中小企業を含む全ての企業が対象で、違反した企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金も科されます。人手不足に悩む中小・零細企業の中には職場が回らないという悲鳴も聞かれますが、メリハリをもった働き方は生産性向上につながるでしょう。

「有休に罪悪」が5割以上、日本の有休取得率は3年連続世界最下位

旅行サイト大手・エクスペディアが世界19カ国・地域を対象に実施した調査では、日本の有休取得率は50%にとどまった上に、有休取得日数も世界で最も少ない20日中10日間となり、3年連続の最下位になりました。
有休取得率ワースト2位のオーストラリアは70%と大きく差がついており、日本人の有休取得の少なさが浮き彫りになっています。
有休を取得しない理由については「人手不足」が第1位。2位は「緊急時のために取っておく」、3位は「仕事をする気がないと思われたくない」でした。さらに「有休をとることに罪悪感がある」と回答した日本人は58%と、有休取得率の低さの裏に、「休むことを悪とする文化」があることが伺えます。子どもの頃から「皆勤賞」など休まないことを奨励される社会に育ち、また、世界の企業の多くで導入されている有休とは別の「傷病休暇」がないために「有休=緊急時や体調の悪い時に使うもの」という意識が蔓延しているためではないでしょうか。
そして、上司が有休をとることに協力的という回答に関しても43%と、世界でもっとも低位にとどまりました。

「働き方」が企業イメージや採用に響くことも

事業所単位では平均5日の取得をクリアしていても、労働者1人がクリアしていなかった場合は刑事罰の対象となります。働き方に対する社会の目が厳しさを増す中、罰則を受けた場合に今後の採用活動や企業への信頼性に響く可能性があります。
「法の抜け穴」を探すようなやり方よりも、制度変更の目的を理解し、休みを取りやすくする方法を考えるほうが将来的にプラスになるのは間違いありません。
例えば、年末年始やGWのような大型連休を延長して全員で有休をとる「計画年休」は、社員一人ひとりの年休をやりくりする必要がなく、忙しい職場や少人数の職場でも実行しやすいでしょう。
しっかり休んで、ふたたびしっかり働く。こういったメリハリのある働き方こそ、働く人のモチベーションを維持し、生産性を高めるために有効になるはずです。

有名企業における休暇制度の例

ユニークな休暇制度を設けることで、社員がより有給休暇を取得しやすい環境を作り出している企業も少なくありません。

ヤフー株式会社では、年3日を上限に、ボランティア参加のための有給を取得できる「課題解決休暇」や、自身のキャリアや働き方を見つめ直し、さらなる成長へとつなげるための「サバティカル制度(勤続10年以上の正社員が対象)」などが設けられています。
こういった制度は、社会貢献や自己成長といった「価値のある経験」へとつながっていくものであるため、これまで有給取得に前向きではなかった方の背中を後押しする制度といえるのではないでしょうか。

また、株式会社リクルートキャリアでは、年1回連続した4営業日以上の有給休暇を取得すると「アニバーサリー手当金」として6万円が支給される制度があります。この制度を設けたことで、「妻の出産予定に合わせて休暇を取得する」「親孝行旅行で温泉にいく」「個展を開く期間にあてる」「短期語学留学で海外に行く」など、さまざまなかたちで有給休暇を活用する社員が増えてきたそうです。

こういった制度は、社員一人ひとりのリフレッシュ、そしてモチベーションの向上にも大きく影響を与えるため、生産性の向上に欠かせないものになっていくでしょう。そして何より、有給を取得しやすくなる制度があることで、企業への信頼・イメージがプラスに働く可能性も高いのです。
働き方改革が進む昨今において、このような制度は欠かすことのできないものになりつつあるのではないでしょうか。


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