経営者の関心事
2019.1.30

「働き方改革」に向けて、労基法改正のポイント

(画像=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
(画像=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
長時間労働の是正や労働生産性の向上など、日本人の働き方を見直す取り組みに注目が集まる中、2019年4月には労働基準法(労基法)が改正されます。今回は、企業が知っておくべき労基法改正のポイントを見ていきましょう。

年次有給休暇の取得義務化

改正労基法では、日本の有給休暇取得率の改善にもメスが入りました。
HR総研が先ごろ実施した調査によると、有給休暇の取得率「20%以下」は17%ですが、完全消化の「81%~100%」はわずか7%しかありません。
一方、旅行大手エクスペディアの調査によると、日本の有給消化率は50%と世界各国の中でもワースト1位となっており、ワースト2位の韓国(67%)とも大きく差を付けられています。
改正労基法では、年10日以上の有給を持つ従業員に対して、会社側は5日分の有給について必ず取得させる義務を負うことになります。ただし、従業員が自主的に5日以上の有給を取得している場合や、会社側が計画的に5日以上の有給を付与している場合は義務を負うことはありません。
企業が取るべき対策としては、有給の取得を呼び掛けるほか、会社の繁忙期や閑散期をにらみつつ、計画的な有給を取得できる環境を整備することが挙げられます。夏季休暇や年末年始、ゴールデンウイークなどの休暇に有給取得奨励日をつけることで、休暇を長めにするといった方法が考えられるでしょう。

同一賃金・同一労働の導入

正社員と、契約社員やパート社員との待遇の差が社会問題化しています。「同一賃金・同一労働」の原則にのっとり、企業は待遇格差の解消に向けた就業規則の見直しなどが求められるでしょう。

残業時間の上限規制

現行の労働基準法36条に定められる36協定では、労使が合意を結び労働基準監督署に届ければ、1カ月あたり45時間、1年間360時間を上限として労働時間の延長が認められていました。また、特別な事情がある場合は、臨時的にこの上限を上回る残業も認められていましたが、改正労基法では以下のようになります。
  • 臨時的な事情がある場合でも残業時間は、1年間720時間を限度とする
  • 労働時間は月間100時間を超えない(休日労働を含む)
  • 2~6カ月の期間内でいずれも労働時間は月平均80時間以内とする(休日労働を含む)
企業は上記内容を就業規則に明記のうえ、新たな36(サブロク)協定を結ばなくてはなりません。
厚生労働省:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針

勤務間インターバル制度の普及

改正労基法では、いまや国際的に常識になりつつある勤務間インターバル制度の普及を目指しています。これは、勤務と勤務の間には一定期間のインターバル(休息)を設けなければならないという制度のことです。例えば、9時~17時の勤務時間の従業員が23時まで残業した場合、翌日の勤務は11時間以上を開けなければなりません。
今回の改正では、同制度は努力義務となっていますが、厚生労働省は、新たに勤務間インターバル制度を導入する中小企業向けに助成金制度も設けます。労働環境の整備に向けて、こうした助成金も積極的にチェックすべきでしょう。

高度プロフェッショナル制度の導入

「高プロ」と呼ばれる本制度の導入は、大きな議論を呼んでいます。これは「年収1,075万円以上の高度なスキルを持つ労働者は労働時間の上限規制の対象から外れる」という制度であり、アナリストや研究職、コンサルタントなどの専門職が想定されます。
ただし、こうした専門職の場合も高プロの適用は本人との合意が必要であり、年間104日間の休暇取得も義務付けられているので、労働時間に上限規制がしっかりと設けられた環境で働くことができます。ただ、残業という概念がなくなることで実質賃金が低下することや、規制がさらに緩和されて、職種や年収の適用範囲が拡大されることが懸念されているのも事実です。

「人手不足倒産」が4割増、就労環境の改善で従業員確保

中小企業にとって、労働環境の整備は容易ではありません。ただ、少子高齢化で労働力人口が低下する中、人材業界では空前の売り手市場が到来しています。帝国データバンクによると、2018年上半期は、従業員の離職による「人手不足倒産」は前年同期比4割増に拡大したそうです。
就労環境の整備が遅れると「雇用条件が悪い」「モチベーションが上がらない」などの理由により従業員の離職を招く可能性も否めません。
そのため、まずは改正労基法の施行に合わせた就労環境の改善から実施すべきといえるでしょう。


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