自社ビルのメリット
2020.9.28

BCP対策の必要性と具体的な計画作成の5STEP 成功するための5ポイント

(画像=vitalii-vodolazskyi/stock.adobe.com)
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近年、甚大な自然災害や非常事態が多いことに加えて2020年には新型コロナウイルスによる緊急事態対応まであり、経営者としての過去の経験値だけでは対処ができなくなってきました。未曾有の緊急時からすばやく事業を復旧させるための対策を「BCP対策」いいます。しかしなじみのない言葉のため「実際に何をどうしたらいいのかが分からない」という担当者もいるのではないでしょうか。

また自社で行っている緊急時の対策が「そもそもBCP対策の基準に合っているのかも分からない」という人もいるかもしれません。そこで今回は、BCP対策について以下の6つの内容についてまとめました。
  1. BCP対策とは
  2. BCP対策のメリットとデメリット
  3. BCP対策の計画作成6ステップ
  4. 成功するBCP対策5ポイント
  5. オフィスに関してできるBCP対策
  6. 都市部のサテライトオフィスを保有したときのBCP例
最後まで読むことでBCP対策の概要が理解でき自社でするべき対策内容と方法が具体的に分かります。
<目次>
1.BCP対策とは
 1-1.BCP対策は義務ではないが、やるべきリスクマネジメント
 1-2.BCP対策と防災対策の違い

2.BCP対策のメリットとデメリット
 2-1.BCP対策をする4つのメリット
  (1)メリット1.損失が最小になる
  (2)メリット2.自社リソースと課題の発見
  (3)メリット3.企業価値と信頼が向上する
  (4)メリット4.企業として社会責任を果たす
 2-2.BCP対策をする2つのデメリット
  (1)デメリット1.コストが必要
  (2)デメリット2.対策が機能しない可能性もある

3.BCP対策の計画作成6ステップ
 3-1.ステップ①策定方針と運用体制を決める
 3-2.ステップ②最優先する復旧部門を選ぶ
 3-3.ステップ③復旧までの速さを決める
 3-4.ステップ④BCPの発動基準を決める
 3-5.ステップ⑤計画書の策定
 3-6.ステップ⑥運用・見直し

4.成功するBCP対策5ポイント
 4-1.ポイント1:経営者がBCP対策を正確に理解する
 4-2.ポイント2:現実的な復旧目標時間にする
 4-3.ポイント3:自社と関連各社を連携する
 4-4.ポイント4:想定外を想定し、常に代替案を用意しておく
 4-5.ポイント5:全従業員参加 情報共有を徹底する

5.オフィスに関してできるBCP対策
 5-1.本社機能をサテライトオフィスに移行できる
 5-2.都心にサテライトオフィスがあれば、復旧が早く、損失損害が最小限になる
 5-3.サテライトオフィスを賃貸ではなく保有すればいざというときに資産化できる

6.都市部のサテライトオフィスを保有したときのBCP例
 6-1.自然災害時
 6-2.緊急事態時(パンデミック・テロ・サイバー攻撃ほか)

7.まとめ

1.BCP対策とは

BCP
(画像=relif/stock.adobe.com)
BCP対策とは「Business Continuity Plan」の略語で日本語では「事業継続計画」といいます。非常にシンプルな言い方をすれば「いざというときに会社と従業員を守るための対策」です。企業が非常事態に直面した場合、例えば以下のような状況下で自社の被害を最小限に抑えることが必要になります。
  • 疫病(インフルエンザ、ウイルスなどのパンデミック)
  • 自然災害(地震、台風、水害、火山など)
  • その他 緊急事態(国家紛争・テロ・大規模情報漏洩など)
同時にメイン事業を継続させながら早期復旧させるための包括的な計画が必要です。これが事業継続計画になります。

1-1.BCP対策は義務ではないが、やるべきリスクマネジメント

BCP対策は義務ではなく対策をしないことによる罰則などもありません。しかし過去10年で起きている未曾有の緊急事態は以下のように多発しています。 これらを考慮すると今後も従来の経験値では乗り切れないほどの被害が出る可能性があるでしょう。緊急事態の発生に起因する長期の経営困難や連鎖倒産の可能性も含めて考えることが必要になります。企業があらかじめ緊急事態下で取るべき対策の計画を持ちどのような状況でも事業運営がストップしないで済む準備と計画がBCP対策です。

前述した通りBCP対策を義務付ける法律はありません。しかし万が一大規模な災害が発生しBCP対策が不完全で関係者が大きな被害を被った場合、安全配慮義務違反などで訴えられる可能性はゼロではありません。
(参照:厚生労働省 労働法 安全配慮義務

1-2.BCP対策と防災対策の違い

BCP対策の中には防災が含まれていますがBCP対策と防災対策では根本的に目的が異なります。多くの事業主や企業がイメージする緊急時への対策は以下の表にある「防災対策」のことです。
 
  対策の目的 対策する対象
防災対策 人命と企業財産を守る 災害拡大と伝染病・ケガなどの回避
BCP対策 緊急事態下の事業続行 業務停止する可能性があるものすべて

【防災対策】
防災対策は、主に自然災害などによって起こるトラブルに対処します。また防災対策は主に自社と社内の人間に対して行うべきものであり、例えば「備蓄食料や水」「ハザードマップや避難経路の確保」「病気やケガの対策」「耐震対策」などを準備し自社の従業員の人命と会社の現物財産を守ることが目的です。

【BCP対策】
BCP対策は、自然災害を含めた以下のようなあらゆる災害と緊急事態に際した事柄に対処します。
  • 地震
  • 水害
  • テロ
  • 大規模停電
  • 原子力事故
  • ウイルス感染
  • サイバー攻撃など
大規模リコールや集団食中毒なども想定した防災対策をしたうえで「事業運営を停滞させずに最低限の事業被害に抑え基幹企業の営業を続けながら早期に通常運営に復活すること」をゴールにした対策です。またBCP対策では自社のみでなく関連企業とも連携して対策を練り「いかに連鎖トラブルをお互いに回避するか」についても講じる必要があります。

2.BCP対策のメリットとデメリット

BCP
(画像=gajus/stock.adobe.com)
本章では、BCP対策をする企業のメリットとデメリットをまとめました。

2-1.BCP対策をする4つのメリット

BCP対策をしたことで得られるメリットを4つにまとめました。

(1)メリット1.損失が最小になる

BCP対策をしっかりと講じることにより有事の際の企業損失を最小にとどめることが期待できるでしょう。また物理的・経済的な損失以外にも経営陣と従業員全体の精神的ショック・アブソーバーとしても機能します。

(2)メリット2.自社リソースと課題の発見

BCP対策の計画をするには「有事の際にどの事業・部門を優先的に復旧していくか」をあらかじめ整理して順位付けることが必要です。そのためには、現時点と未来において「自社の基幹企業が何であるべきか」「どこに最もリソースを割くべきか」などの分析・判断が重要になります。このような情報整理をしていく中で以下のような社内状況をつぶさに調べ直すことが大切です。
  • 自社設備の性能や稼働状況
  • 原材料や部品の在庫状況
  • 人材と配置の問題
  • 関連各社との関係性
見直しの過程で社内の隠れた問題点や課題を発見することがあります。

(3)メリット3.企業価値と信頼が向上する

BCP対策をすると結果的に企業価値と社会的な信頼度が上がります。なぜならBCP策定後、定期的な内容更新やテスト施行を繰り返ことによりメイン事業のリソースが最大化していくからです。特に企業がサプライチェーンの一翼を担っている場合は、BCP対策済ということを取引先へも周知するため、取引先にとっての安心感につながり企業全体の評価が高まります。

その結果、企業価値と信頼性が向上し取引案件の増加や資金調達のしやすさなどにつながることが期待できるでしょう。

(4)メリット4.企業として社会責任を果たす

BCP対策をすると企業として社会責任をまっとうすることができます。例えば災害などにより企業が操業停止に追い込まれてしまうと従業員をはじめ取引先や金融機関、投資家への影響は甚大です。他にも企業のある地域住民や国にとっても直接的・間接的に大きな影響及ぼす可能性があります。また最悪のケースでは対策の不備が原因で倒産・連鎖倒産を引き起こすこともあるでしょう。

このような負のサイクルを起こさないために企業として万全なBCP対策を行っていることは、企業の利害関係者に対して一定の社会的な責任を果たすと同時に自社の社会的な存在意義も達成していることになります。

2-2.BCP対策をする2つのデメリット

(1)デメリット1.コストが必要

必要なBCP対策をするためにはコストがかかります。どのような策定方法をするかによって費用は異なりますが例えば「担当者の人件費」「コンサルディング費」がかかる場合を想定してみましょう。

・担当者の人件費
社内で数人の担当者が必要です。社内での新しいプロジェクトになるため、相応のコスト(お金・時間・労力)がかかります。

・コンサルティング費
外部に依頼や委託をするケースもあります。費用はプランによって異なりますが「発案→計画→施行」まですべてを外部委託した場合「行政書士40万円~」「コンサルティングファーム100万~」が相場です。

・社員への教育コスト
「BCP対策の社内周知徹底のための教育時間」「演習時間などの時間と労力のコスト」「印刷物などのコスト」などがかかります。一度では認識できないため、数回にわたって教育プログラムを組むことも必要です。また社員の中から数名の教育リーダーなどを育てる必要も出てきます。

・システム関連のインフラコスト
データや機密情報などを自社内以外で保守する必要がある場合は、そのためのコストがかかります。コストに関しては策定前の段階で社内エンジニアに相談することが必要です。ケースによっては大掛かりな予算が必要になるでしょう。

・リモート勤務などの対策コスト
本社事務所まで出勤をしないで仕事をするリモート勤務のための「サテライトオフィス(社外オフィス)」「サテライトブース(社外デスク)」などもコストとして見積もられます。平常時では売上に直結しないことが多いため、効果のイメージがしにくく予算確保のためには十分な説明が必要です。

<対策>
従業員へは、BCP対策をしないままで緊急事態が起きたときのデメリットをしっかりと理解してもらいましょう。BCP対策を講じなかった場合の被害の甚大さを実例とデータを元に説明していくことが必要です。

(2)デメリット2.対策が機能しない可能性もある

BCP対策を行っていても計画時に想定した内容を超えた災害や緊急事態が起きた場合は、BCP対策が計画通りに行えない場合があり想定よりも機能しない可能性もあります。

<対策>
BCP対策を定期的に見直すとデメリット2を軽減させることができるでしょう。BCP対策の見直しタイミングは3章で解説します。

3.BCP対策の計画作成6ステップ

BCP
(画像=takasu/stock.adobe.com)
本章では、実際にBCP対策を策定する行程を6つのステップに分けて解説していきます。

3-1.ステップ①策定方針と運用体制を決める

BCPの策定方針とBCP対策のメンバーを決めます。

・策定方針:
あらゆる緊急事態をリストアップしたうえで自社が直面する可能性の高いトラブルを絞り込んでいきます。自社の所在地や関連会社・事務所などの地理的な要因も含め、起きる可能性があるトラブルとそのインパクト(打撃)をすべてリストにしましょう。

例:
  • 水害が出やすい地域
  • 近隣に大火災が起きる可能性がある地帯
  • 土砂災害が起きやすい場所
  • 水はけが悪く復旧にほかの地区より時間がかかる
  • 遠距離からの通勤者が多い
  • 山間部でネット環境があまり良くない
  • 主要部品メーカーがハザードマップ上にある
・運用体制:
社内でBCP対策プロジェクトメンバーを結成します。社内の各部門メンバーが横断的にそろっているのが理想です。各部門同士の調整などは総務部が担当するケースが多いでしょう。策定を外部委託する場合でも、社内プロジェクトメンバーは必要です。

3-2.ステップ②最優先する復旧部門を選ぶ

有事の際に最優先で復旧する事業を選びます。緊急時下で影響を受けるのは以下の要素です。数値化して経営戦略とともに優先順位をつけていきます。
  • 売上高(売上率)
  • 利益高(利益率)
  • シェアへの影響
  • 顧客数
  • 資金繰り
注意すべき点は、自社の重要な商品が複数ある場合でも必ず順位をつけ1位から集中的に復旧させることです。策定をしているときは平常時なのでイメージしにくいのですが、実際の緊急事態下で、同時にいくつもの事業を復旧させることは極めて難しく、人・モノ・金の貴重なリソースを中途半端に分散させ、結果的にすべての事業が遅延・縮小・停止してしまう可能性が高くなります。

このような最悪の事態を回避するためには、復旧の優先順位を明確につけ、1位のものから最優先で取り組むのがベストです。

・ステークホルダ(利害関係者)のダメージも見積もる
策定プランを作る際には、ステークホルダのダメージも含めて想定しておきましょう。優先順位をつけた商品と関係のある企業全体を見わたします。「関係各社のどこにダメージが出ると自社に損害が発生するか」のシミュレーションも欠かせません。協力してトラブル回避をする必要がある関連企業には、BCPプロジェクトメンバーから各企業へBCP対策への理解と協力を申請しましょう。

例:重要商品に関連する資材、代替品や必要な資源の確保など

3-3.ステップ③復旧までの速さを決める

復旧までの目標時間を決めます。先に事業的に許容できる範囲の損失を決め、そこを超えないように算定すると無理がありません。目標時間は早いほど理想的です。しかし緊急時での復旧作業・資源再調達には、時間・手間・コストがかかります。また同時に同業他社も再発注をかけるため、一時的に物資が不足する可能性もあるでしょう。

確保できる資源状況などを含め達成できる妥当な時間を設定します。

3-4.ステップ④BCPの発動基準を決める

BCP対策を「どのような状況になったら発動するか」を決めます。この基準が不明瞭だと「現場ではBCP対策が発動しているか」が理解できないため混乱し初動が遅れがちです。発動のタイミングは、トラブルを最小限に防ぐことを目的に逆算方式で決めます。例えば以下のような内容に関して逆算したものを基準とします。
  • 優先復旧事業に必要な資源に最悪の場合どの程度の被害が出るか
  • 資源を再調達、代替するにはどの程度時間がかかるかなど
発動時の社内の人員体制に関しても情報共有を徹底することが必要です。災害時や緊急時には「システム関連復旧」「財務対応」「関連各社との連携」「その他現場復旧」といった各チームがさまざまな復旧作業を同時進行することが想定されます。しかしこのような連携プレーがうまく機能するためには、緊急時に必要な人材が必要な場所にいないと話になりません。

そのため緊急時には以下のような可能性があることも認識しておくことが必要です。
  • チームリーダーが不在
  • 担当者と連絡取れない
  • 安否確認が取れないメンバーがいる
  • 従業員が出社できない状況である
各チームに想定外の出来事があった場合の代案が必要になります。また企業としては最低限、自社従業員の安否確認ができる方法を電話・メール以外に準備しておきましょう。

3-5.ステップ⑤計画書の策定

ステップ①~④までがそろったらBCP対策の計画書作りに入ります。策定には以下の方法があります。

・自社オリジナルのBCP対策を作る
書籍やガイドライン、他社のBCP案を参考に自社に合ったものをプロジェクトメンバーで作成する方法です。多くの企業はこの方法を採用しています。

・策定後、国際規格で認証してもらう
策定したBCP対策が本当に効果的かどうかを、第三者機関で認証してもらう方法があります。義務ではありませんが「策定が緊急時に本当に機能するかどうか」を判断する目安となるでしょう。現在、国際規格として信頼されているのは英国規格協会(BSI)のBCP国際規格「ISO23001」です。研修やBCP策定のコースなどもあります。
(参照:一般財団法人日本品質保証機構 ISO23001

BCP対策のガイドラインとテンプレートを以下に用意しましたので参考にしてください。

・ガイドライン:
内閣府:事業継続ガイドライン 第三版(平成25年8月)
内閣府:各都道府県が提供するガイドライン
日本商工会議所:中小企業のためのBCP対策
中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針
厚生労働省:新型インフルエンザ対策ガイドライン
経済産業省:企業における情報セキュリティガバナンスのあり方に関する研究会
経団連:首都直下型地震にいかに耐えるか
国土交通省:気象庁
国立感染症研究所:災害と感染症

・テンプレート:
中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針 ダウンロード
港区:港区事業者向けBCPテンプレート
神奈川県:かながわ版BCPテンプレート
大阪府:大阪府オリジナル!「超簡易版BCP『これだけは!』シート」
福岡県:BCP策定マニュアル
東京都庁:東京都のBCP対策
参考:中央省庁などのBCP対策

3-6.ステップ⑥運用・見直し

BCP対策を実際にテスト運用し、効果を把握しましょう。災害が起きてから振り返って修正することは難しいため、平常時に模擬テストやシミュレーション訓練などを通して気が付いたことを報告し改善すべき点があれば次回のBCP対策見直しをするときに盛り込みます。見直しのタイミングには主に以下の6つのケースがあります。

・1 社内組織に変革があった場合
社内組織の変更により陣頭指揮を取る人物やチームリーダーの変更が必要です。

・2 メイン事業を変更した場合
メイン事業の変更により優先すべき復旧内容が変わります。

・3 大きなステークホルダの変動があった場合
ステークホルダ登録簿を確認し企業同士の利害関係に変化がある場合は、緊急時の影響を再確認して対策をする必要が出てきます。

・4 社内システムやネットワークを変えた場合
システムそのものが変更される場合は、システムおよびネットワーク全体の保守と復旧内容に変更があります。

・5 行政や法律が改定された場合
法律や地元行政のルール変更があった場合は、その内容に沿ってBCP対策にも変更が必要です。

・6 業界の動向に変化があった場合
自社が関連する業界に変化がある場合は、メイン事業に変化が起きる可能性があります。また材料や資金の調達方法にも影響が出てくる可能性も念頭に入れておきましょう。

4.成功するBCP対策5ポイント

BCP
(画像=artur/stock.adobe.com)
本章では、BCP対策をうまく社内に定着させ緊急時にBCP対策から最大の効果を得るための5つのポイントを解説します。

4-1.ポイント1:経営者がBCP対策を正確に理解する

BCP対策は企業の存続に関した事柄のため、経営者の管轄すべきこと(経営者マター)です。BCP対策を経営陣主導で「緊急事態が起きたときのメイン事業復旧ためのものであること」を全従業員が正しく理解し正しく行動してもらう必要があります。経営者サイドの理解が不十分な場合、タイトルがBCP対策であっても蓋を開けてみたら防災対策だった……などの「残念なBCP対策」となりかねません。

緊急時には、事業を継続させるための対処を現場レベルの判断と気合いと根性だけで乗り切ることになります。
(参照:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社「残念なBCPとこれからのBCP」

4-2.ポイント2:現実的な復旧目標時間にする

デスクの上の理想で対策をしても意味がありません。自社所在地の地理的なメリット・デメリットや全機能が停止した場合など最悪のケースを踏まえて具体的で現実的な手順で復旧できるまでの目標時間を立てます。

4-3.ポイント3:自社と関連各社を連携する

BCP策定を自社の中だけで完結しないことです。利害関係のある関連各社や傘下の事業、地域などにもBCP対策を講じている旨を説明し必要な対策には連携を要請します。また基幹事業に関わる工場などにだけBCP対策を手厚くし本社のBCP対策が手薄になると緊急時に必要な陣頭指揮が取れなくなる可能性も否めません。そのためBCP対策は自社と関連する企業や地域全体を包括した目線で対策を立てましょう。

4-4.ポイント4:想定外を想定し、常に代替案を用意しておく

BCP対策には載っていない想定外の事態が起きる可能性があります。なぜならBCP策定の際に自社が対応できるレベルの対策に収めようとするあまり想定が甘くなるからです。各項目に必ず代替案を用意し適切な対処ができるようにしておきましょう。

4-5.ポイント5:全従業員参加 情報共有を徹底する

緊急時に迷いなくするべき行動ができるためには、訓練による行動シミュレーションの徹底と正しい判断をするための基礎知識が必要です。社員教育の一貫としてBCP対策の全従業員周知と情報共有を兼ねた訓練を繰り返しましょう。

5.オフィスに関してできるBCP対策

BCP
(画像=digitalgenetics/stock.adobe.com)
ここまでBCP対策のメリット・デメリット、ゼロからBCP対策を作り上げる方法、BCP対策を成功させるポイントについて解説してきました。緊急事態が起こったときのために、どのような事前準備をしておくべきなのかが理解できたのではないでしょうか。ここからは、オフィスに関してできるBCP対策について考えておきましょう。

緊急事態が起こった場合でも、経済活動は継続させなければなりません。災害などがあったときに本社機能がストップしてしまうと事業がストップしかねません。また本部が機能しなくなることで復旧も遅くなってしまいます。「リスクを分散する」「損害を最小限に抑える」という観点から、本社とは別にサテライトオフィスを持つことがリスク回避の有効手段だと考えられます。

サテライトオフィスを設置した場合の主なメリットは以下の3点です。
  1. 事前に重要データなどをシェアしておき、緊急時に本社機能をサテライトオフィスに移行できる
  2. 都心にサテライトオフィスがあれば、復旧が早く、損失損害が最小限になる
  3. サテライトオフィスを賃貸ではなく保有すればいざというときに資産化できる
上記3点について、それぞれ理由を見ていきましょう。

5-1.本社機能をサテライトオフィスに移行できる

サテライトオフィスと重要なデータなどをシェアしておきBCPが発動されたら本社機能をサテライトオフィスにシフトして通常営業を即時再開させることができます。

5-2.都心にサテライトオフィスがあれば、復旧が早く、損失損害が最小限になる

都心は放送キー局と主幹企業が集まっているため、電気・ネットワーク系の復旧が早い傾向です。そのため都心に主要オフィスまたはサテライトオフィスを持っていると万が一大規模な緊急事態が起きた場合でも電気・システム・ネットワーク系の停止による損失損害を最小に抑えられます。

5-3.サテライトオフィスを賃貸ではなく保有すればいざというときに資産化できる

都心に持つオフィスは、賃貸よりも自社保有が優位です。自社ビル一棟は難しい場合でも、自社のオフィスはビルのワンフロアだけといった区分から保有できます。それが「区分所有オフィス®」です。

都心部に自社のオフィスを保有していれば万が一BCP発動後の復旧が計画通りに進まない場合でも、賃貸経営に切り替えたり、売却したりして収益確保が可能です。特に東京都心部のオフィスはその利便性とブランド力から常に需要があります。そのため築年数が経過しても賃貸・売却ともにすぐに反応があり急な資金需要時にも対応できます。

6.都市部のサテライトオフィスを保有したときのBCP例

BCP
(画像=tayukaishi/stock.adobe.com)
以下は、都心部にサテライトオフィスを保有した際に考えられる非常時のBCP例です。

6-1.自然災害時

地震や大規模な水害などの自然災害発生時には、関係する地域の公共交通機関・一般道路・ネットワーク関連が一時的に機能しなくなる可能性があります。また従業員が本社や自宅から数日間~数週間、移動できなくなるおそれもあるでしょう。このような状況下でも以下のように災害発生直後から通常業務を継続できます。
  • 保守すべき重要データはサテライトオフィスでシェアしてあるので無傷
  • 現場が混乱していてもサテライトオフィスからBCP発動・遠隔指示が可能
  • サテライトオフィスに本社機能をシフトし復旧まではスマホがあれば業務連絡が可能
  • 貸与端末などを本社とサテライトで保持しておき必要なところに発送
  • サテライトオフィスのスタッフに当面の代表受付と対応をしてもらう
  • 通常の営業活動をサテライトオフィスにしてもらい売上低下を回避

6-2.緊急事態時(パンデミック・テロ・サイバー攻撃ほか)

新型ウイルスなどの感染症拡大がビジネスに大きく影響を与えることは、2020年新型コロナウイルスのパンデミック体験によって実感をしている経営者は多いのではないでしょうか。パンデミックやテロ以外にもサイバー攻撃や集団食中毒などの個別企業にとっての緊急事態に対してもサテライトオフィスの存在は以下のように役立ちます。
  • パンデミックなどで社内や従業員の家族に感染者が出て全社出勤自粛・待機となった場合でも感染者がいないサテライトオフィスでは通常営業が可能
  • 感染拡大防止のためにリモート勤務への切り替えをする場合でもセキュリティ対策としてサテライトオフィスのサーバーを使い本社のメインサーバーは解放しないでおく
  • リモート勤務開始時に必要な貸与端末などは、本社とサテライトで分けて保管・保守を行い必要な場合は双方で補完することができる
  • システムとデバイスをそろえても対応しきれない部分(全資料ペーパーレス化・全クラウド化など)をBCP対策の一環としてサテライトオフィスで進行してもらい有事の際には一部の本社機能をサテライトオフィスに移行させる
不測の事態に対する危機管理機能を本社とサテライトの両方で補えます。

【関連記事】BCPから考える自社ビルのすすめ

7.まとめ

BCP対策の必要性や具体的な計画作成の方法が理解できたのではないでしょうか。以下の6つの観点からまとめました。
  1. BCP対策とは
  2. BCP対策のメリットとデメリット
  3. BCP対策の計画作成6ステップ
  4. 成功するBCP対策5ポイント
  5. オフィスに関してできるBCP対策
  6. 都市部のサテライトオフィスを保有したときのBCP例
災害の多い日本では防災対策への取り組みは万全でも、その後の事業継続に関しての対策は企業ごとの正解を探しているのが現状です。まずは、自社の緊急時のマニュアルが防災と「事業継続計画としてBCP対策ができるものであるか」を確認するところから始めてみましょう。

※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの登録商標です

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