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2021.4.2

オフィス移転での原状回復は住宅とは異なる!基本はすべて借主負担?

(画像=hansgeel/stock.adobe.com)
(画像=hansgeel/stock.adobe.com)
賃貸オフィスを退去する際には「原状回復」という手続きが必ずあります。オフィス移転の費用といっても新オフィスの賃料や敷金(保証金)、新調するオフィス用品・什器費用だけではありません。場合によっては旧オフィスの原状回復費が想像以上に膨らみ戻ってくるはずの敷金が思いのほか少額になってしまう可能性もあるのです。

後悔しないためにもオフィス移転での原状回復についてしっかりと理解しておきましょう。本記事ではオフィス移転における原状回復の概要や住宅の原状回復との違い、相場などについて解説します。
 

<目次>
1.原状回復とは何か

2.住宅とオフィスで違う原状回復

3.原状回復費の相場は?

4.知っておきたい原状回復でのトラブル事例とその対策
 4-1.備品に関するトラブル
 4-2.指定業者の見積もりが相場よりも高いケース
 4-3.工事を夜間に行われて費用が割高になるケース

5.テナント側、オーナー側の原状回復する範囲
 5-1.共用部分に関する原状回復
 5-2.入居者を獲得するために設備をグレードアップする場合

6.原状回復のスケジュールは?
 6-1.6ヵ月前までにすること
 6-2.3ヵ月前までにすること
 6-3.2ヵ月前までにすること
 6-4.1ヵ月前までにすること
 6-5.退去日までにすること

7.自社ビル保有ならば原状回復は必要ない

1.原状回復とは何か

オフィス移転,原状回復
(画像=SkyLine/stock.adobe.com)
原状回復とは住宅やオフィスなど賃借していた建物の契約が終了した際に「借りたときの状態に戻してから貸主に返す」と認識している人が多いのではないでしょうか。しかし原状回復においては、「借りたときの状態」という認識が人によって捉え方が異なる部分があるため、時にトラブルが起こることが少なくありません。

こうしたトラブルを避けるために国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定め原状回復を以下のように定義しています。

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

出典:国土交通省「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について」

つまり原状回復は「借主が借りた当時の状態に戻すことではない」と明確化したのです。「善管注意義務」とは「善良な管理者の注意義務」の略で借主の職業・能力・社会的地位などから考えて、常識的に期待される義務という意味になります。そのため「故意、過失、通常の使用を超えて損耗を与えた場合には借主が復旧しなければならない」という意味合いで捉えて問題ありません。

逆にいうと経年変化、通常の使用による損耗などの修繕費用は、賃料に含まれるため原状回復費には含まれないとされているのです。

2.住宅とオフィスで違う原状回復

オフィス移転,原状回復
(画像=F-StopProduction/stock.adobe.com)
上記した原状回復の定義を踏まえ、住宅とオフィスの原状回復の違いを確認しましょう。民法では契約自由の原則が認められているため、賃貸借契約書を取り交わす際に特約で原状回復についての独自の取り決めがされていることが大半です。そのため賃貸借契約時には原状回復についての取り決めをしっかりと確認しておくことが重要になります。

まず住宅(居住用)については、2020年4月に施行された改正民法により原状回復について以下のように明文化されました。

「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに応じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」
出典:e-Gov(民法第621条 賃借人の原状回復義務)

改正民法では、経年変化による自然損耗は賃借人の責任にはならないとしています。明らかに賃借人の故意や過失で損傷を生じた部分のみを負担すればよいことになりました。ガイドライン通りに経年変化や自然損耗は原状回復費として負担しなくて良いケースが多い傾向です。

一方、一般的にオフィス(事業用)は事業者となるためしっかりと原状回復の特約がある場合、経年変化や自然損耗を含めたすべてを借主が負担します。ただし特約の内容があいまいな場合は原状回復費を貸主が負担しなくてはならないケースもあるようです。平成17年12月16日の最高裁では「賃貸借契約書で原状回復の特約が認められない」という判決が出ました。

そのため賃貸借契約書に原状回復の特約がしっかりと認識できる内容になっているかが重要になります。また事業用の場合、壁紙や床材、配線、パーテーションなどをカスタマイズしてオフィス内装をレイアウトするケースが多い傾向です。こうした造作は基本的に元通りにすることが求められます。さらに事業用の賃貸借契約では、原状回復費とは別に「敷金の一部を償却する」という敷引特約を結んでいることもあるため注意が必要です。

マンションなどの住宅とテナントビルで原状回復の契約内容が異なるのは、使用方法の違いによるものです。

テナントビルは、入居する企業や店舗によって部屋の使い方は多岐にわたります。シンプルなオフィスもあればエステサロンのようにいくつもの部屋に区分して使用する場合もあるため、業種によって一つ一つ契約の基準を変えるのは困難でしょう。そのためテナントビルの場合は、原則として原状回復は借主の負担になっているのです。

その点マンションは、使用方法がほぼ同じのため、改正民法の定義に基づいて判断することになります。したがってマンションの1室をオフィスとして借りている場合は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って費用負担範囲を判断すれば大きなトラブルにはならないでしょう。

3.原状回復費の相場は?

オフィス移転,原状回復
(画像=v.poth/stock.adobe.com)
実際に原状回復費を請求されても、その費用が適正かどうかは判断が難しいでしょう。原状回復工事の範囲は事例によって幅があるため一概にいえないのが実情です。ケースバイケースのため明確な相場というものはありません。原状回復費の目安を挙げるとすれば以下のような金額になります。
 

また一般的に原状回復工事は以下のようなものがあります。

・増設したパーテーションやカウンター、デスクなどの撤去
・増設した電源コンセントや電話回線、インターネット回線の撤去
・カーペットやタイルなど床の張り替え
・壁や天井のクロスの張り替え、塗装
・照明器具の交換
・ブラインド・カーテンの交換
・(企業名の入った)看板の取り外し

さまざまな工事原状回復費を積算することになりますが、通常は坪単価で価格設定をすることが多い傾向です。さらに注意点としては「業者指定」の問題が挙げられます。賃貸借契約の原状回復特約では、「原状回復工事を行う場合、貸主側の指定する業者が行わなければならない」という項目が設けられているケースが多くあります。

その場合、借主が原状回復工事を安くできる業者を見つけてきても採用することはできません。貸主が指定している業者のため、貸主側の意向をくんだ範囲の広い工事を行う可能性が高く割高になってしまう可能性もあります。

>>【関連記事】テナントを悩ます原状回復費の高騰。区分所有オフィスという選択

4.知っておきたい原状回復でのトラブル事例とその対策

オフィス移転,原状回復
(画像=beeboys/stock.adobe.com)
では、知っておいたほうがよい原状回復のトラブル事例と対策を確認しておきましょう。原状回復のトラブルには以下のような事例があります。

4-1.備品に関するトラブル

原状回復においては、蛍光灯のような備品も新品に交換することが必要です。なかには交換して間もない電球もあるでしょうがすべて交換されたうえ費用を請求されトラブルに発展するケースがあります。「借主としては納得がいかない」「貸主からするといつ交換したか分からない」という言い分もあるでしょう。

電球を交換したときの領収書を見せてあらかじめ交換不要な電球があることを伝えておくのもトラブル回避の一つの対策です。

4-2.指定業者の見積もりが相場よりも高いケース

原状回復工事は、テナントビル側が指定した内装業者が行う場合が多い傾向です。そのため借主がほかの業者からとった見積もりよりかなり高額でトラブルになるケースが発生します。自分でとった見積もりを提示して値引き交渉する手もありますが「内装業者を自分で指定できるのかどうか」については、契約時にきちんと確認しておいたほうがよいでしょう。

4-3.工事を夜間に行われて費用が割高になるケース

外装工事は、確実に昼間行われますが内装工事は夜間に行われるケースがあります。夜間は、人件費が高くなり工事費が割高になるため、注意が必要です。すでにスケルトン(空っぽの状態)になっているのに「なぜ夜間に工事を行うのか」など借主が納得せずトラブルになることがあります。退去が決まった時点で「1ヵ月前には引き払うので原状回復工事は昼間行ってほしい」と指定しておいたほうが無難です。

5.テナント側、オーナー側の原状回復する範囲

オフィス移転,原状回復
(画像=morita/stock.adobe.com)
原状回復でトラブルになりやすいのがテナント側とオーナー側の費用負担範囲です。テナントビルにおいては、テナント側が原状回復義務を負うことはすでに紹介しました。しかしすべてのケースで100%テナント側が負担しなければならないわけではありません。以下のようなケースは、オーナー側が負担すべきと考えられています。

5-1.共用部分に関する原状回復

ビルの共用部分の原状回復は、オーナー側が負担するのが一般的です。テナントは、毎月共益費を払っているため、自社の前の廊下部分に破損があるような場合も負担する必要はありません。ただしテナントの過失で破損させたことが明らかな場合は負担させられる可能性があります。

5-2.入居者を獲得するために設備をグレードアップする場合

空室になったのを機に室内の設備を新しいものに入れ替える場合もあるでしょう。これは新しい入居者を獲得するためオーナーの都合で行うことです。そのためテナントが費用を負担する必要はありません。もし工事の見積もりに余計な設備の設置費用が含まれていたら申し入れを行いましょう。テナントビルの原状回復は、契約時の内容確認が極めて重要です。

「単にスケルトンにすればよいのか」「完全に入居したときの状態に戻さないといけないのか」では、負担範囲が大きく異なります。契約時の「重要事項説明」を受ける際に十分確認するようにしましょう。

6.原状回復のスケジュールは?

オフィス移転,原状回復
(画像=KasparsGrinvalds/stock.adobe.com)
原状回復工事は、入居しているオフィスの退去日までに完了し明け渡さなければなりません。そのため原状回復は余裕を持ったスケジュールで進める必要があります。順を追って早めにスケジュールを決定しましょう。

6-1.6ヵ月前までにすること

移転を決定したら、6ヵ月前までに現オフィスの解約を通知します。あわせて新オフィスの入居時期も確認することも必要です。移転担当チームを設置して移転先の条件や移転スケジュールを検討しておきましょう。同時に現オフィスの原状回復や敷金・保証金の契約条件を確認しておきます。

6-2.3ヵ月前までにすること

新オフィスへの引っ越し業者を選定します。引っ越しスケジュールを策定し現オフィスで契約しているリース業者、電話・ネット業者などに移転の連絡を行いましょう。移転日が確定したら郵便局にも転居届を提出します。

6-3.2ヵ月前までにすること

原状回復工事を依頼する場合は、2ヵ月前に業者を決定して発注します。新オフィスの内装や電話、ネット、電気設備などの工事を行います。

6-4.1ヵ月前までにすること

原状回復工事は、2週間から1ヵ月ほどかかります。早めに計画を立て、退去日までには確実に終わるようにスケジュールを組むように心がけましょう。新オフィスに備品の搬入を行います。

6-5.退去日までにすること

移転7日前までに移転後の所轄消防署へ「防火対象物使用開始届出書」を提出します。退去日当日に原状回復を確認したら現オフィスの明け渡しを行います。

以上は、おおまかなスケジュールの目安です。会社の規模や業種によっても異なるため、自社にあわせて最善のスケジュールを組むようにしましょう。

7.自社ビル保有ならば原状回復は必要ない

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(画像=peshkova/stock.adobe.com)

企業の業績が順調に伸び事業の拡大を目指してオフィス移転を図ったものの「想定外の原状回復費により事業の進捗に黄信号が灯ってしまう」という事態は避けなくてはなりません。事業規模の拡大に合わせて賃貸オフィスを転々とすれば、そのたびに一定程度の原状回復費がかかることになります。こだわったオフィスレイアウトや内装造作であればあるほど原状回復費はかさむでしょう。

もし退去時に発生する原状回復費が原因で思いきったオフィスレイアウトを実現できないのであれば「自社ビルを購入する」というのも一つの手です。自社ビルであれば、どれほど大掛かりな内装造作を施したとしても原状回復を求められることはありません。原状回復費を考慮すれば賃貸オフィスの移転を繰り返すより「自社ビル購入」という選択肢も合理的な方法の一つではないでしょうか。
 

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