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2020.6.29

不動産運用におけるIRR(内部収益率)とは 利回りとは何が違うのか

(画像=vitalii-vodolazskyi/stock.adobe.com)
(画像=vitalii-vodolazskyi/stock.adobe.com)
不動産の運用において、代表的な指標に「利回り」というものがあります。不動産に限らず投資の世界ではスタンダードな指標であり、意思決定の一つとなるものです。しかし現実の不動産運用の場面ではいくつかの変数が加わるため、利回りだけで運用の意思決定をすることはおすすめできません。変数の代表的なものとしては「時間」が挙げられます。

この時間という軸を考慮に入れた指標が、「IRR(Internal Rate of Return)=内部収益率」というものです。ここでは、このIRRを考察しながら不動産運用について考えてみましょう。

利回りの種類と指標としての価値

IRRを考える前に利回りについておさらいしましょう。利回りと一口にいっても①「表面利回り(グロス利回り)」、②「実質利回り(ネット利回り)」、③「自己資本利回り」などがあります。

①表面利回り

「表面利回り」は「グロス利回り」とも呼ばれます。不動産運用における「表面利回り」とは、年間の賃料収入を物件の購入価格で割った数字です。式で表すと以下のようになります。

【計算式】表面利回り=年間賃料収入÷物件価格×100

【計算例】土地1,000万円、建物1,500万円、月間の家賃収入8万円の場合

表面利回り3.84% = 年間家賃収入96万円(8万円×12ヶ月)÷ 物件価格2,500万円 × 100

「表面利回り」はシンプルで計算が簡単にできることから、収益物件を大まかに比較検討する際に用いられることが多い指標です。ただし、経費や税金などのコストを省略しているので、現実のキャッシュフローとは大きく食い違ってきます。「表面利回り」は、あくまで“物件の収益性を大まかに把握する”ための指標と考えたほうが良いでしょう。

②実質利回り

「実質利回り」は「ネット利回り」とも呼ばれます。年間賃料収入から管理費用や保険料などの必要経費と税金を引いた額を、物件購入価格(諸経費込み)で割った数字です。式で表すと以下のようになります。

【計算式】実質利回り=(年間賃料収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

【計算例】土地1,000万円、建物1,500万円、月間の家賃収入8万円、管理費・修繕積立金18万円、購入時の諸経費50万円とした場合

実質利回り3.05% =(年間家賃収入96万円 – 諸経費18万円)÷(物件価格2,500万円 + 購入時の諸経費50万円)×100
※小数点第3位以下切り捨て

表面利回りと比較した場合、かなり実態に近い数字なのが理解できるのではないでしょうか。

③自己資本利回り

上記の「実質利回り」を基準にすれば、不動産運用は万全というわけではありません。なぜなら、不動産運用は金融機関からの借り入れを利用可能なことがアドバンテージなのですが、「実質利回り」ではその点を明確にできないからです。

そこで借入金で運用したケースで使われる指標として、「自己資本利回り」があります。これはCCR(Cash On Cash Return)とも呼ばれているもので、年間キャッシュフローを自己資本で割った数字で計算式は、以下の通りです。

・自己資本利回り=年間キャッシュフロー÷自己資本×100

具体的に以下の例で説明しましょう。
 
物件価格 1億円
年間賃料-諸経費 700万円
実質利回り 7%
自己資金 1,000万円
借り入れ 9,000万円
金利 2%
返済期間 20年

上記の条件で借り入れをした場合、年間返済額は約546万円です。

・年間返済額:約546万円 = {100万円当たりの毎月元利均等返済額5,058円×(借り入れ9,000万円÷100万円)}×12ヶ月

一方、年間キャッシュフローは、約154万円となります。

・年間キャッシュフロー:約154万円 = 年間賃料-諸経費:700万円 - 年間返済額:546万円

このケースでは「自己資本利回り」15.4%となり、約6年半で投下資金を回収可能です。もし全額キャッシュで購入した場合は回収まで14年以上かかりますが、6年半で自己資金を回収できるところが借り入れによるレバレッジ効果といえます。

・自己資本利回り:15.4%=年間キャッシュフロー:154万円 ÷ 自己資本:1,000万円 × 100

時間軸を考慮したIRRという指標

「自己資本利回り」まで見ていくと、かなり不動産運用の実態がつかめる指標になってきたように感じるかもしれません。しかしまだ、「時間」という座標軸の要件が抜けています。不動産運用は時間軸にしたがって「購入」「運用」「売却」とキャッシュが大きく動くことが特徴です。これらを考慮に入れた指標が「IRR(内部収益率)」になります。

IRRを一言で説明すると、不動産の購入から売却までの期間で得られる平均的な利回りを時間の価値をも考慮して表した指標です。式で表すと以下のようになります。

・投資額={1年目のキャッシュフロー ÷(1+r)}+{2年目のキャッシュフロー÷(1+r)の2乗}+…+{n年目のキャッシュフロー÷(1+r)のn乗}
※r=IRR

式だけを見てもさっぱり分からない……という人も多いかもしれません。ただ表計算ソフトの関数にIRRがありますので、実務ではそれを利用されることをおすすめします。ここでは「時間の価値をも考慮する」ということの意味を理解しましょう。例えば、「10万円もらえる」となったとき今日もらえるのと1年後にもらえる場合、多くの人は「今日もらう」という選択をするでしょう。

1年という時間に不確実性がありますが、経済の世界では「金銭は時間の経緯とともに利息がつく」と考えられていることがあります。つまり「今日10万円もらって1年間で運用して増やすことができる」と考えることが合理的なのです。もっと極端にいえば、「明日手に入る10万円よりも今日手に入る10万円のほうが経済的には価値がある」ということです。

将来受け取る金銭を現在価値に換算するときの割合を「割引率」といいます。そして投資額と将来得られるキャッシュフローを現在価値に割り引いたときの額がイコールになる割引率がIRRなのです。

IRRから見た不動産運用の事例

先ほどの事例を当てはめてIRRを考えてみましょう。同じ条件で5年目に7,000万円で売却、残債が6,270万円だと仮定します。

【事例1】
・物件価格:1億円
・自己資本:1,000万円
・借り入れ:9,000万円(年利)
・年間返済額:546万円
・年間キャッシュフロー:154万円
・5年目に7,000万円で売却
・残債:6,270万円
 
0年目 -1,000万円(投資なのでマイナス)
1年目 154万円
2年目 154万円
3年目 154万円
4年目 154万円
5年目 884万円(売却額と残債の差額730万円+154万円)

IRRは11%となりました。不動産運用の成績としてはまずまずです。それでは次に「実質利回り」が8%と高いが売却価格が事例1より下がってしまったケースを考えます。6,000万円で売却として計算してみましょう。

【事例2】
・物件価格:1億円
・自己資本:1,000万円
・借り入れ:9,000万円(年利2%)
・年間返済額:546万円
・年間キャッシュフロー:254万円
・5年目に6,000万円で売却
・残債:6,270万円
 
0年目 -1,000万円(投資なのでマイナス)
1年目 254万円
2年目 254万円
3年目 254万円
4年目 254万円
5年目 -16万円(売却額と残債の差額-270万円+254万円)

IRRは0%となりました。最終的に収支がトントンで不動産運用としては失敗です。「実質利回り」が8%と高くても売却という出口戦略まで考慮しなければ失敗してしまう好例でしょう。主に郊外の1棟アパートなどにある例といえます。次に実質利回りは6%ですが、都心部の物件だったために売却時に値上がりしていたケースを考えてみましょう。

【事例3】

・物件価格:1億円
・自己資本:1,000万円
・借り入れ:9,000万円
・年間返済額:546万円
・年間キャッシュフロー:54万円
・5年目に1億500万円で売却
・残債:6,270万円
 
0年目 -1,000万円(投資なのでマイナス)
1年目 54万円
2年目 54万円
3年目 54万円
4年目 54万円
5年目 4,374万円(売却額と残債の差額4,230万円+54万円)

IRRはなんと37%に跳ね上がりました。

まとめ

前章の事例2、事例3を比較しても分かるように不動産運用を利回りの高さだけで判断することは危険です。時間軸など他の条件も含めて考慮しなければ失敗してしまう可能性が高まりかねません。IRRはその点で優れた指標といえるでしょう。特に事例3のように出口戦略が功を奏すると不動産運用は成功しやすいことが分かります。

2020年の地価公示価格を参照すると東京都の商業地は7年連続上昇しているため、このようなケースは数多くあると推察できるでしょう。IRRの視点からは、人口・商業・情報が集積し将来的な収益性・資産性が期待できる東京都心部に不動産を保有することがベターです。

例えば、東京の商業地に自社ビルを一棟建て自社使用部分以外を賃貸に回すオフィスビル運用というのも有力な不動産運用方法です。あるいは、一棟ではなく区分所有で自社オフィスを構える場合でも、都心部の物件であれば資産価値は高く、売却して資金調達することも可能になります。こうした理由からも、オフィスは借りるのではなく買うほうが有用な不動産運用の方法といえるでしょう。

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