自社ビルのメリット
2020.5.28

CRE戦略とは?CRE戦略の効果や不動産M&Aの手法を具体的に解説

(画像=ESB Professional/Shutterstock.com)
(画像=ESB Professional/Shutterstock.com)

企業にとって重要な経営資源である企業不動産を有効活用し戦略的に企業価値向上を目指すことをCRE戦略といいます。近年テレワークなど新しい働き方が導入される中でCRE戦略は非常に重要です。

今回は、CRE戦略の効果や不動産M&Aの具体的な手法・メリットを分かりやすく解説していきます。

1.企業が成長するためには必須となるCRE戦略

(画像=PIXTA)
テレワークをはじめとした新しい働き方が導入されることで企業不動産のあり方は大きく変わりつつあります。既存の企業不動産を最大限有効利用するとともに必要に応じて柔軟な資産の組み換えを行わなければなりません。まずCRE戦略の意味や効果について簡単に解説していきます。

1-1. CRE戦略とは

国土交通省の「CRE戦略を実践するためのガイドライン(2008年)」によるとCRE(Corporate Real Estate)とは、企業が利用する不動産のことです。CREには、オフィスとして自社で利用している不動産だけでなく投資用として企業が所有し第三者に賃貸しているものも含まれます。CRE戦略とは、企業が所有する不動産の管理・運用を戦略的に行うことです。

企業における不動産の活用や不動産投資の効率化を目指すCRE戦略は、国土交通省によるガイドラインが発表されたことから2008年ごろから徐々に認知度が高まっていきました。そしてテレワークなど新しい働き方を導入する企業が急速に増えている時代において改めてCRE戦略の重要性が増してきています。CRE戦略の目的は、短期的な投資効率の最大化ではなく中長期的に企業価値を向上させることです。

単純に不動産管理にまつわるコストを削減したり不動産を売却して売却益を出したりすることだけが、CRE戦略ではありません。オフィスへの設備投資やM&Aなど戦略的な投資をしつつ無駄を削減し管理体制を構築することが大切です。

1-2.CRE戦略の効果

CRE戦略によって企業が享受できるメリットには、さまざまなものがあります。代表的なメリットは以下の通りです。

<事業収益の増加>
・オフィスへの設備投資による従業員の生産性向上
・店舗への設備投資による消費者サービスの向上

<事業経費の削減>
・不動産管理にまつわるコスト削減

<キャッシュフローの改善>
・不動産の適切な賃貸や売却でキャッシュを確保する

<経営の効率化・最適化>
・企業用不動産を「見える化」し管理することで、潜在的なリスクを把握する
・企業のブランディングやイメージアップにつなげる
・経営の意思決定のスピードが上がる

全国のオフィスの状況を把握しきれていなかったり投資用不動産の効果的な賃貸・売買ができていなかったりする企業はたくさんあります。CRE戦略を導入することで収益アップや経費削減、ブランドイメージの向上などさまざまなメリットを享受できるでしょう。

1-3.CRE戦略が進まない時代背景

CRE戦略の重要性については、ガイドラインができる2008年以前から国土交通省をはじめとした一部専門家の間で説かれていました。一方でなかなかCRE戦略が進捗しなかったという時代背景があります。まず東京一極集中によって不動産市場が東京と地方に二分されていることです。都心部の不動産価格が高騰することで自社ビルを所有したくても賃貸に頼らざるを得ないケースが多々あります。

また投資用物件として地方の不動産に投資しても需要が少ないことから空室リスクを避けられません。こういったリスクを恐れて企業の適切な不動産投資が進まないこともCRE戦略を難しくしている要素の一つです。

2.売却益を直接受け取れる不動産M&AでCRE戦略を進める

(画像=PIXTA)
CRE戦略の進め方の一つとして不動産M&Aについて解説します。「自社の不動産を売却する」「他社の不動産を買い取る」といったときにも活用できるスキームなのでCRE戦略について考えている人はぜひ理解しておいてください。

2-1.不動産M&Aとは

一般的なM&A(Mergers and Acquisitions)は、企業が保有する事業・資産の取得を目的とする企業合併・買収のことです。一方不動産M&Aは、企業の所有する不動産を取得することを目的として行われるM&Aを指します。不動産を取得しようと考えたとき従来は単純に不動産の売買が行われていました。しかし経営者が売却益を受け取ろうと思えば法人税・所得税が二重にかかる問題点がありました。

そこで一般的な不動産売買にかわって不動産M&Aという手法を活用することに注目が集まっています。不動産M&Aでは、経営者個人が不動産を所有する会社の株式を渡して金銭を受け取ります。そのため売却益を直接受け取れるとともに税金も少なくてすむことがメリットです。A社がB社に不動産を売却しようと思っとき通常の手順で売却した場合と不動産M&Aを活用した場合の違いは以下の通りです。

<一般的な不動産売却>
・A社は不動産を渡しB社から金銭を受け取る
・A社の不動産売却益に対して法人税がかかる
・A社の経営者が売却益を受け取ろうと思えば高額な所得税がかかる
 
<不動産M&A>
・A社はまず不動産だけを所有する子会社を作る
・経営者は子会社の株式を渡しB社から金銭を受け取る
・法人に資金が入るわけではないため、法人税はかからない
・経営者にかかる所得税は優遇されている

2-2.どんな税金がおさえられるのか

不動産の売買をめぐるコストで一番意識する必要があるのが税金です。不動産M&Aは、税金を抑えるのに大きな威力を発揮します。一般的に法人が不動産を売却した場合、売却益は事業の利益全体に合算されます。(売却損となった場合も同様)法人税率は2020年現在普通法人で年800万円を超える部分に関しては23.2%です。

さらに地方税や事業税も加算されるため、実際には売却益の3割程度を法人税として納めなくてはなりません。また不動産を売却したのは法人なので金銭は法人に振り込まれます。これを個人が引き出そうとすると役員報酬や配当金として支払うことが必要です。すると今度は、最大45%の所得税と10%の住民税がかかってしまいます。

売却益のうち3割を法人税として納付し残る7割のうち所得税最大45%・住民税10%として納付しなければならないのです。こう考えると個人が受け取れる金銭が想像以上に小さくなってしまうことが理解できるのではないでしょうか。一方不動産M&Aになると取引は株式の譲渡として行われます。株式の譲渡に対して課される税金は、所得税15.315%(復興特別所得税含む)、住民税5%の合計20.315%です。

なおかつ金銭は個人が直接受け取れます。売却で受け取る金銭が1,000万円、事業税等含めた法人税率が約3割、所得税45%が適用されると仮定した場合の試算は、以下の通りです。

<一般的な不動産売却>
項目 内容
売却収入 1,000万円
法人税 1,000万円×約30%=約300万円
所得税・住民税 (1,000万円-約300万円)×55%=385万円
残金 1,000万円-約300万円-385万円=約315万円

手元に残るお金(残金)は、約315万円となり1,000万円の売却収入の約3割です。

<不動産M&A>
項目 内容
売却収入 1,000万円
法人税 なし
所得税・住民税 1,000万円×20.315%=約203万円
残金 1,000万円-約203万円=約797万円

手元に残るお金(残金)は、約797万円となり売却収入の約8割です。どちらのスキームを活用するかで受け取れる金額がここまで変わってきます。

2-3.売り主のメリット、デメリット(注意点)

不動産M&Aを活用する売り主のメリットは、手元に残るお金を最大化できることです。一方売り主側の注意点としては「土地類似株式」と判定される場合、不動産の短期譲渡所得があったとみなされ39.63%(復興所得税含む)の課税となることが挙げられます。総資産のうち土地・借地権の割合が70%以上を占め、その不動産の所有期間が5年以下の場合、もしくはそのような株式の保有期間が5年以下の場合に適用されます。

2-4.買い主のメリット、デメリット(注意点)

不動産M&Aを活用することは、買い主側にも非常に大きなメリットをもたらします。なぜなら売り主の手取りが大きくなる分、割引交渉が可能になるからです。さらに不動産取得時のさまざまな税金からも解放されます。一般的な不動産取引の消費税は、建物部分にかかり土地にはかかりません。しかし不動産M&Aであれば消費税および登録免許税、不動産取得税、売買契約書の印紙税も不要です。

いいことずくめのような不動産M&Aですが、デメリットもあるため注意しなければいけません。単なる不動産取引ではなくM&Aなので売り主のデューデリジェンスを慎重に行う必要があります。「決算書に記載されていない簿外債務がないか」「他社への保証債務がないか」などを調べる行程が発生するのです。

買い主としては不動産の取得が目的なので「それ以外の事業、従業員などは切り離されているか」について精査しなければなりません。そのため不動産M&Aは、通常の不動産取引よりも複雑で時間がかかるのが一般的です。

ここまで説明してきたように、不動産M&Aを行うにはさまざまな税金が関連します。難しい税制に関しては、税理士などの専門家へ相談するほうが無難でしょう。不動産M&Aを検討される方は事前に専門家に相談し、正しい準備を進めていきましょう。

3.まとめ

(画像=PIXTA)
CRE戦略にはさまざまな手法がありますが、まずは目先のことから一つずつ対応していくことが大切です。CRE戦略でも重要になるのが「借りるのか」「買うのか」という問題です。

3-1.借りるべきか、買うべきか

CRE戦略にはさまざまな手法がありますが、自社のオフィスを「借りるのか」「買うのか」というのは、経営者にとって悩ましい問題でしょう。賃貸は手軽に契約をスタートできる一方で契約が終了すると何も残りません。一方オフィスを購入した場合、資金調達が必要になることも多いですが、借入金返済後は不動産を所有できます。

事業をはじめたばかりでそもそも融資がおりない場合などを除き長期的な視点で考えるならオフィスを所有することはさまざまなメリットをもたらすでしょう。オフィスを所有していることで不動産を担保として金融機関から資金調達をしやすくなります。また廃業する際に不動産M&Aで不動産を売却するという選択肢も生まれます。

3-2.東京でオフィスを所有するメリット

オフィスを所有しようと考えるなら資産価値の観点でいえば東京の不動産が適しています。東京の不動産は価値が下がりにくく需要も途切れないことが特徴です。万一事業状況が悪化した際には、すぐに売却してキャッシュを確保できるため、安心感が生まれます。また東京で働くことは従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。採用におけるアピールポイントとしても活用できます。

CRE戦略に取り組みたいと考えているなら、その一歩として東京にオフィスを構えることを検討してみてください。

オフィスは「借りる」より「買う」時代

物件の詳しい間取り・価格を知りたい方はこちら。
販売物件一覧(新橋・水道橋・銀座・半蔵門・御堂筋本町)

>>【eBookダウンロード】東京のオフィスで 企業価値を高める不動産戦略
>>まずは区分所有オフィス®︎の資料を請求してみる
 

 

【オススメ記事】
夢の自社ビル、新築と中古はどっちがお得?
資産価値を高めるための自社ビル取得は「立地」が重要
資産としてのオフィスを所有し戦略的に活用するには
「都心にオフィスを持つ」を実現するには
本社集約で業務効率化の成功企業事例

NEXT CRE戦略において減価償却を活用する方法とは
PREV 企業不動産から長期経営戦略を考える 資産としての自社ビルが持つ意義