自社ビルのメリット
2019.6.13

武田薬品、大型買収を受け大阪の自社ビルを売却

(画像=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)
(画像=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)
国内製薬最大手の武田薬品工業は1月下旬、創業の地である大阪の本社ビル(武田御堂筋ビル)など21件の不動産を売却すると発表しました。2019年3月期に譲渡益約380億円を計上するとしています。同社はアイルランドの同業シャイアー社を約6.8兆円で買収したため負債が膨らんでおり、ノンコア資産の売却で債務削減を図ると見られます。

大阪本社は500億円で売却か、賃貸に切り替え引き続き活用

各種報道によると、売却先は米不動産ファンドのグリーンオーク・リアルエステートとみられ、売却額は500億円程度とみられています。
売却後は賃貸に切り替え、登記上の本社として引き続き武田薬品が使用します。これは「セール・アンド・リースバック」と呼ばれる方式です。

本社機能の多くは管理部門で、生産拠点のように直接利益を生みません。ただ、本社ビルは立地が良い都心部に存在することが多く、資産価値の高い物件が多いものです。そこで、資産価値の高い本社ビルを売却して資金を調達し、今回の武田薬品のように大型買収に投じたり、設備拡張を行ったりと、コア事業の成長に活用するのです。ただ、完全に売却してしまうと本社機能がストップしてしまうので、リースバックという形で引き続き使用します。

2017年には東京本社も売却し、日本橋に「グローバル本社」を新設

武田薬品は大阪本社の売却に先駆けて、2017年にも東京本社ビル(東京武田ビル)と隣接する武田新江戸橋ビルの土地と建物を高島屋に売却しています。この時の売却額は495億円で、2018年度下期に固定資産売却益の約390億円(税引き前)を計上しました。
高島屋は、日本橋エリアに点在するオフィスや事務所、グループ会社の拠点などを新たに取得したビルに移転させ、集約を図ります。

武田薬品は中央区日本橋本町に新東京本社ビルを建設し、「武田グローバル本社」と位置付けて2018年5月下旬から業務をスタートさせています。
新東京本社は地上24階、地下4階のオフィスビルで、延床面積は約4万5,600平方メートル。総工費は660億円です。武田薬品は現在、売上高の7割を海外部門が稼ぎ出していることから、グローバル事業強化の一環として、東京本社の移転・強化を図ったとみられます。

本社ビルをめぐる2つの側面に注目

武田薬品の事例は、本社ビルをめぐる2つの側面に注目です。
ひとつは、資産価値は高いが直接的にコア事業と関わらない資産を売却・リースバックすることで資産の選択と集中を進め、巨額買収と海外事業という成長投資に資金を投じたという点。

もうひとつは、創業の地である大阪の本社ビルは「セール・アンド・リースバック」で拠点を確保し登記上の本社として機能させつつも、グローバル事業を強化するために、事実上の本社はビジネス上のメリットが多い東京に軸足を移したという点です。

オフィスビルは、企業の資産でありブランド力を示す看板でもあります。武田薬品のように、資産価値の高い不動産物件を保有することで、資金調達という実利を取りつつ、創業の地という会社のスピリットと伝統を維持することも可能なのです。

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