自社ビルのメリット
2020.8.24

自社ビル保有に向けて知っておきたい税金の話

(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
事業の拡大や多角化、さらにはリクルーティングなど、さまざまな視点から“自社ビル”の購入を考えている経営者は多いものです。ただ、自社ビルを保有したいと考えている人にとって、忘れてはならないのが税金に関する基礎知識です。税金に関する基礎知識をもっておかないと、とくに金額や予算観という点において、正しい判断をすることができません。

本稿では、自社ビルを取得する際には、どのような種類の税金が発生するのか具体的に紹介します。
<目次>
1.自社ビルにかかる税金 2.自社ビルの取得や移転にかかる税金 3.自社ビルを保有しているとかかる税金 4.自社ビルを売却するとかかる税金 5.自社ビルを賃貸にまわすとかかる税金 6.自社ビル保有の検討は税金の知識とともに
自社ビルの購入に関しては、ビルを新築する場合も中古ビルを購入する場合も、多額の費用がかかるものです。それに伴い、税金もそれなりの金額を見越しておく必要があります。もし、税金を考慮せずに物件選定を進めてしまうと、想定以上のキャッシュフローが生じる可能性があります。だからこそ、税金の知識は大事なのです。自社ビルにかかる税金はケースによって以下のように多岐にわたります。

1.自社ビルにかかる税金

税金
(画像=nishihama/stock.adobe.com)
自社ビルにかかる税金には、大きく分けて4種類あります。それぞれ、具体的な税目は以下の通りです。

1-1.自社ビルの取得や移転にかかる税金

  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 消費税

1-2.自社ビルを保有しているとかかる税金

  • 固定資産税
  • 都市計画税

1-3.自社ビルを売却するとかかる税金

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税(利益が出た場合のみ)
  • 消費税

1-4.自社ビルを賃貸にまわすとかかる税金

  • 所得税(法人所得税)
  • 住民税(法人住民税)
  • 法人事業税
  • 消費税
では、項目ごとに詳しく見ていきましょう。

2.自社ビルの取得や移転にかかる税金

税金
(画像=hanahal/stock.adobe.com)
自社ビルの取得や移転にかかる税金は以下の通りです。

2-1.不動産取得税

不動産取得税とは、土地・建物などの不動産を取得したときにかかる税金です。不動産を取得したときに1度だけ支払う必要があります。標準税率は4%に設定されていますが、2021(令和3)年3月31日までは特例で「土地及び住宅3%」「住宅以外の家屋4%」となります。課税標準額は、原則として各市区町村の固定資産課税台帳に登載されている価格(新築の建物は固定資産評価基準)が用いられます。

【関連記事】不動産取得税と知っておきたい軽減措置 

2-2.印紙税

印紙税とは、契約書や領収書を作成した場合に課税される税金です。税額は、作成する文書の種類や契約金額によって異なります。例えば、不動産売買契約書等の印紙税額は以下の図のように定められています。
 
「印紙税額の一覧表」国税庁

2-3.登録免許税

登録免許税とは、自社ビルの権利を第三者に主張するために必要な登記(所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記など)をする際にかかる税金です。標準税率は、登記の種類と内容によって異なります。例えば「土地の所有権の移転登記」や「建物の登記」は、以下の図のように定められています。課税標準額は、原則として固定資産課税台帳に登載されている価格(新築の建物は新築建物価格認定基準表)が用いられます。

 
 
「登録免許税の税額表」国税庁

所有権移転登記の手続きは、一般的には司法書士に依頼しますので、別途司法書士報酬が発生します。そのため、登録免許税は司法書士報酬とセットで考える必要があります。

2-4.消費税

自社ビルを購入する場合にも消費税はかかります。金額が大きいだけに、消費税の額もあなどれません。ただ、自社ビルの購入は主に“土地”と“建物”にわけられますが、土地の売買には原則として消費税がかかりません。また建物を購入する場合でも、不動産の売買を事業として行っていない個人から購入する場合には非課税となることがあります。その他、設計や建築、仲介手数料、司法書士等への報酬などの費用にも消費税がかかります。

2-5.上記の各税金でタックスメリットを受ける方法と注意点

(1)印紙税

印紙税は、契約書の記載方法によりタックスメリットを受けられます。例えば、税込1,100万円の物件を売買する場合、1,100万円(税込)という記載では記載価格が1,100万円と判断され、印紙税が2万円かかります。しかし、税抜き価格1,000万円(内消費税、地方消費税100万円)と記載すれば記載価格は1,000万円と判断されるため、印紙税は1万円で済むのです。また、電子契約書にすることで印紙税を非課税にすることも可能です。

(2)登録免許税

登録免許税は、土地の売買による所有権移転に関しては、2021(令和3)年3月31日まで軽減措置を受けられます。所有権の移転登記が2.0%→1.5%、所有権の信託登記が0.4%→0.3%にそれぞれ軽減されます。住宅用家屋の軽減措置は2022(令和4)年3月31日まで延長されました。

(3)消費税

消費税は、2019(令和元)年10月1日から10%に税率が改正されました。同時に8%の軽減税率制度が導入されています。軽減税率対象品目である食料品を扱わない事業者も、仕入れや経費に軽減税率対象品目があれば、仕入れを税率ごとに区分する「区分経理」を行う必要があります。軽減税率対象品目を確実に区分することでタックスメリットを受けられますが、顧問税理士に依頼している場合は問題ないでしょう。

3.自社ビルを保有していると必要になる税金

税金
(画像=victor-zastol-skiy/stock.adobe.com)
自社ビルを保有している場合にかかる税金は以下の通りです。

3-1.固定資産税

固定資産税とは、不動産をはじめとする固定資産を保有している人にかかる税金です。毎年1月1日に、登記簿および固定資産課税台帳に土地・建物の保有者として登録されている個人・法人(未登記の場合は所有者)に対して課税されます。税率は標準で1.4%に設定されており(各市区町村によって異なる場合があります)、課税標準額は固定資産課税台帳に登録された価格となります。

3-2.都市計画税

都市計画税とは、都市計画法で定める市街化区域内にある土地・建物の所有者に対して課税される税金です。固定資産税と同様、毎年1月1日に、固定資産課税台帳に記載されている所有者は納税しなければなりません。標準税率は0.3%に設定されており(各市区町村によって異なる場合があります)、課税標準額は固定資産課税台帳に登録された価格となります。

3-3.タックスメリットを受ける方法と注意点

固定資産税は用途が住宅用地の場合、200平方メートルまでの土地は通常の6分の1(都市計画税は3分の1)に減額されます。200平方メートルを超えた場合でも固定資産税は3分の1、都市計画税は3分の2に減額されます。これを「住宅用地の特例」といいます。そこで、複数の自社ビルを保有している場合、事務所として使用している支社を社員寮として転用すれば住宅用地として評価されるため、固定資産税・都市計画税を大幅に削減できます。

また、固定資産税は市区町村が一方的に計算するため、稀に間違いが生じ、本来よりも高い税額になっているケースがあります。取引のある不動産会社の不動産鑑定士に依頼して間違いが発見されれば、還付を受けることも可能です。とくに令和3年は3年に1度行われる固定資産税評価替えの年にあたるので、評価額をチェックする良い機会にもなります。

4.自社ビルを売却するとかかる税金

税金
(画像=gina-sanders/stock.adobe.com)
自社ビルを売却した場合は、利益の有無によって税金のかかり方が異なります。

4-1.売却益が出たとき

売却して利益が出たときは、印紙税、登録免許税、消費税のほかに、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税とは、不動産等の購入金額よりも売却価格のほうが高かった場合に、利益に課税される税金です。税率は保有期間によって、下表のように分かれます。所得税には、復興特別所得税2.1%が上乗せされています。
 
  短期譲渡所得(保有期間5年以下) 長期譲渡所得(保有期間5年以上)
所得税 30.63% 15.315%
住民税 9% 5%

4-2.売却益が出なかったとき

売却益が出なかったときは、譲渡所得税は課税されません。ただし、赤字の場合でも印紙代、消費税、登録免許税はかかります。

【関連記事】自社ビルや住宅で資金調達可能!企業でも個人でも活用が進む「リースバック」の概要と企業の2つの実例

5.自社ビルを賃貸にまわすとかかる税金

税金
(画像=snowing12/stock.adobe.com)
自社ビルを賃貸にまわすと、家賃収入に対して次のような税金がかかります。

5-1.家賃収入にかかる税金

家賃収入がある場合は、法人税(法人所得税)と法人住民税がかかります。法人住民税は、「法人税割+均等割」で算出されます。均等割は赤字の場合でも負担しなければなりません。このほか、黒字の場合のみ法人事業税(所得×法人事業税率)が課税されます。

個人でビルを賃貸している場合は、所得税と住民税が課税されます。また、法人・個人にかかわらず、事業用不動産(店舗、オフィス、貸ビル等)からの家賃収入には消費税がかかります。

6.自社ビル保有の検討は税金の知識とともに

以上のように、自社ビルを購入し保有する際には、さまざまな税金がかかります。これから自社ビルを購入する予定の方は、直接的な費用だけでなく税金についても押さえておくことで正しい準備を進めていくことができます。

不動産は基本的に又貸しが禁止されています。本社ビルを借りている場合は、テレワークの普及でスペースに余裕ができたからといって第三者にビルの一部を転貸することはできません。その点、自社ビルであれば賃貸にまわして新たな収益を生み出すことも可能です。

また、更地を駐車場として貸し出した場合は減価償却費を計上できませんが、ビルを建設すれば建物部分は減価償却できるため、所得税でタックスメリットを受けられます。さらに、オフィス用地は「貸家建付地」として評価されるため、更地や駐車場に比べて相続税が2割程度下がります。

このように自社ビルを保有することにはさまざまなメリットがあります。税制上のメリットを受けて業績の向上に反映させるためにも、税理士等の専門家と相談し、自社ビルの保有を検討してみてはいかがでしょうか。

オフィスは「借りる」より「買う」ことの明確なメリット・エビデンスがわかります。

オフィスは「借りる」より「買う」時代

>>【eBookダウンロード】東京のオフィスで 企業価値を高める不動産戦略
>>まずは区分所有オフィス®︎の資料を請求してみる


【オススメ記事】
夢の自社ビル、新築と中古はどっちがお得?
資産価値を高めるための自社ビル取得は「立地」が重要
資産としてのオフィスを所有し戦略的に活用するには
「都心にオフィスを持つ」を実現するには
本社集約で業務効率化の成功企業事例
NEXT 不動産投資で東京23区を選んだ方がいい理由とは?
PREV 管理会社4大業務とチェックすべき管理会社選びの5大ポイント